わらべうたとゆかいな日々
わらべうた 長崎のこと スモーク(くん製)

うた

なーまんじょ なーまんじょ ひーげのなーがい なーまんじょ なーまんじょ なーまんじょ



しぐさあそびです。
顔にひげを描くようにしぐさをしながうたう。

きろく

長崎の諫早市のわらべうたです。

なあーんじょとは、鯰(なまず)のことです。
諫早にお住まいの藤山俊子さんに伝承していただいたうたです。

藤山さんのお父さんが、お孫さんの顔に何かひげのような汚れが
付いていたり、ひげに特徴のある人がいたりすると、からかい気味に
うたってあげていたそうです。

このようにわらべうたは、おじいちゃん、おばあちゃんが子どもを飛び抜いて
孫に伝えていることは、ままあることです。
最近は核家族が進んでおじいちゃん達との交流が少なくなり
わらべうたは伝承されにくくなっています。

あかちゃんから幼児まで幅広く、顔に優しくひげを描くしぐさを
しながらうたってあげましょう。
(諫早市にて 2007年3月7日取材)

うた

にぎり ぱっちり たてよこ ひよこ



しぐさあそびです。

両手を重ねた中に布や小物をかくし、うたにあわせて上下に軽くふる。
うたい終えたら「ピヨピヨピヨ」とひよこの声で鳴きながら手を開く。

きろく

あかちゃんから幼児まで幅広くあそべるうたです。
何度しても最後に手を開く時、布が生きてるみたいにのように立ち上がって
くるのがワクワクします。

シンプルな節とリズムなので、こ猫、子豚、カエルなどに変えていくのも
面白いと思います。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)


うた

チュチ チュチ チュチナ ボーロン ボーロン ボーロンナ
タングィ タングィ タングィ バー



しぐさあそびです。

「チュチ チュチ チュチナ」で手拍子4回
「ぼーろん ぼーろん ぼーろんな」で手のひらをひとさし指で3回丸くなぞる。
「たんぐぃ たんぐぃ」で軽くゲンコツをつくった腕を胸の前で2回まわし「バー」で手のひらを開く。

きろく

このうたは、波佐見町の吉川さんから伝承していただいたうたです。

あかちゃんにしてあげるうたは、節もですが動きもシンプルなのが一番よいと思います。
手拍子の音、うたうお母さんの声はあかちゃんにとってかけがえのない音楽です。
どんな歌手の美しい歌声、CDよりも身近ですべてをゆだねている人のうたや語りかけは特別なものと感じてうたいましょう。

お母さんが歌うと、あかちゃんはニコニコします。そしてお母さんはその表情がうれしくてまたうたうというお互の楽しいつながりが回り始めていき、喜びになっていくでしょう。
(2006年12月9日 長崎県東彼杵郡波佐見町にて取材。)


うた

コーコハ トウチャン ニンドコロ
コーコハ カアチャン ニンドコロ
コーコハ ジイチャン ニンドコロ
コーコハ バアチャン ニンドコロ
コーコハ ネエチャン ニンドコロ
ダイドー ダイドー コチョ コチョ コチョ



顔のあそびです。

「父ちゃん」で子どもの右ほほ、「母ちゃん」で左ほほ、「爺ちゃん」で額
「婆ちゃん」であご、「 姉ちゃん」(兄ちゃん)で鼻の頭をそれぞれを
うたいながら4回つつく(さわる)

「だいどー」で顔の回りを2回めぐり、「こちょ」でわきをくすぐります。

きろく

このあそびは、新生児からハイハイができるまでにたくさん
あそんであげましょう。

うたはゆったりと「父ちゃん〜母ちゃん」と順番にこだわらず
その子が誰に似たのかなあ〜と話しかけるようにうたって
あげることが大切です。

ゆっくりとおっぱいを飲み終えた時、お風呂あがりになどに
してあげて下さい。

動くことが楽しくなる1歳ごろは、顔に触られるのをうるさがったりします。
  そのような時はさらりと流してうただけにしましょう。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)

うた

しおぶり こぶり しおん なきゃ ポチャリン



しぐさあそびです。
ボールをゆっくりふりながらポチャリンで落として見せる。

きろく

長崎の加津佐町のわらべうたです。
しおとは潮のこと、しおんなきゃとは潮の中にということです。

あかちゃんには、ボールをふりながらうたって聴かせますが
1、2歳からは、ひざ上に座らせて上下にはねさせて
ポチャリンでまたの下に落としてあそびます。

大きいボールはあかちゃんはまだ握れないのですが、このボールは手で
掴むことができ、柔らかいので形が自由になります。
ボールの中に鈴をつけたお手玉を入れ音がするようにして使っています。
(参考資料: 佐賀 長崎のわらべ歌 柳原書店)

うた

ジー ジー バー ジー ジー バー  ジー ジー バー ・・・・
チリーン ポローン ト トンデッター!



片腕に長布をかけ、幕にします。
その幕の四方八方より人形の顔を「バー」で見せます。
「トンデッター!」で人形を飛ばせる。

きろく

この遊びは、あかちゃんにしてあげます。
両手で顔を覆い「ばあ」で顔をみせる「いない いない ばあ」と同類です。

他に幕から見せるのは、人形じゃなく顔も良いでしょうし、
幕無しで布を上下にふって最後に布を放つのも面白いと思います。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)


うた

コゾウ ネロ オイシャ ネロ セイタカ ネロ オレモネルカラ ワレモ ネロ



あそびかた

手あそびです。
子どもをひざの上にのせて指を開かせ、小指から順にまげていきます。
小僧は小指、お医者は薬指、せいたかは中指、おれは人差し指、われは親指。

きろく

あかちゃんの指はかわいいものです。 抱っこして、もみじのようなふわふわの指をやさしく開いてうたってあげましょう。

ゆびをまげる時は、必ず指先を少しつまんでツボを押さえるようにまげてあげると ほどよい刺戟が脳に伝わるでしょう。

私は、最後にあかちゃんの手をおにぎりを作るように軽くにぎりながら 「にんぎ、にんぎ、にんぎ」と唱えます。

(参考資料: わらべうたであそぼう 明治図書)



うた

ととけっこ  よがあけた  まめでっぽ  おきてきな



あそび

にわとりや、それに見立てたものでうたってみせる

きろく

このうたは、あかちゃんから幼児までにやさしく、ゆったりとうたってあげましょう。

うたで使うものは、にわとりのぬいぐるみ以外でもボール、積み木、布でも面白いと思います。

ここでは、にわとりを裏返すとひよこに変身するタオル布地のぬいぐるみを使っています。

うたの後に「朝がきたよ○○ちゃん、おはよう」と語りかけたりもします。

(参考資料: わらべうたであそぼう 明治図書)



うた

かれっこ  やいて  とっくらきゃして やいて しょうゆつけて たべたら うまかろ



あそび

しぐさあそびです。

「かれっこやいて」で両手をかざし、魚を焼くしぐさをしながら4回上下します。 「とっくらきゃして やいて」で手をひっくり返し4回上下して「醤油つけて」で片手のひらを人差し指で4回うち、「食べたら うまかろ」でほほを両手でなでます。

きろく

わらべうたのなかでも定番のあそびです。

しぐさと節がシンプルなのであかちゃんをひざに抱っこして手をそえてうたえます。すると、あかちゃんはだんだんまねっこをし始めます。かれっこ(魚のこと)だけでなく、せんべや餅、ホットケーキなどと替えうたもしていきます。

他に”あっとばい”では、2歳位から順番が待てるようになったら、ひも付き棒を使い 目あき魚のぬいぐるみでメザシをつくります。 たくさんのメザシをみんなで焼いて食べるあそびもします。

(参考資料 わらべうたであそぼう 明治図書)



うた

ぎっこ ばっこ ひけば となりの ばんばこ かけた わんこ もってきて
おっぶり かっぷり みなのんだ



座って子どもをひざの上にのせ、手を取ります。うたに合せて舟をこぐまねを
しながら最後の「みなのんだ」の「だ」で子どもを股の下に落とします。

きろく

ずいぶん古いうたのようです。

外海の「ギッコン、バッタン」No.21 のはたおりのうたと同じです。
ことばが面白いので、あかちゃんのころからしてあげたいあそび一つです。

あかちゃんには、最後の落ちのしぐさはやさしくしてあげましょう。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)


うた

ねったか ねらん かあ と まくらに きけば よ お まくら もの ゆう にゃあ ねた と ゆうた



長崎の外海の子もりうたです。ゆっくりとうたってあげましょう。

きろく

長崎の外海の森ユキさん、山口オキさんから伝えて頂いた子もりうたです。
昔、外海の人々は貧しく生活に追われていたそうです。
子どもがぐずって寝ないと、別のうたで「ねんねした子の かわいさ みぞさ 起きて泣く子の
面(つら)憎さ 面憎い子は 茶釜に入れて 松葉おりくべて ゆで殺せ」があったそうです。

現在のように子どもに、かまっていられなかった時代をうかがわせます。
当時の子どもは、夜早く寝ないと大変なことになるぞ!という
おどかしみたいなものがあったのでしょうね。

コンビニやテレビなど無かった時代は、親も子も早寝、早起きだった事でしょう。
そんな背景があった頃のうたですので、枕がものを申すとは何とも面白い詞ですし
節も美しいと思います。
ぜひ、長崎の子もりうたとして伝えていきたいと思います。
(2004年10月16日 黒崎にて取材)



アタマサマ マイテ マツバラ コエテ
メイシャ二 ヨッテ ハナイッポン ヌスンデ
ホウボウデ シカラレテ ミイミイ ナイテ
クチオシ コトヨ ムネンナ コトヨ
シリモセン クセニ オヘソガ ワラウ



あそびかた

頭、顔、からだを順々にさわってあそぶうたです。
頭様(頭上)まいて、 松原(まゆげ)超えて、 目(目の横)医者に寄って
花(鼻すじ)一本盗んで、 方々(頬・ほほ)で叱られて、みいみい(耳たぶ)泣いて
口(唇)おしことよ、 むねんな(胸)ことよ、 知り(尻)もせんくせに
おへそ(お腹)が笑うの各フレーズを4回づつうたいながら触ってあげる。

きろく

子どものかわいい目やほほをやさしくタッチするスキンシップあそびです。

あかちゃんには、まずお母さんとあかちゃんが、しっかり目を合わせ、 ゆったりとなでてあげましょう。

あかちゃんが途中でいやがったり、気分がすぐれない時はサッと やめましょう。

可愛いさかりの子どもにたくさんしてあげて下さい。特にあかちゃんの時からしてあげたいうたです。



うた

ハナチャン リンゴヲ タベタイ ノ ハナチャン



あそびかた

「ハナチャン」で鼻を2回、「リンゴヲ」でほほを2回、「タベタイ」で口びる2回、 「ノ」でひたいを1回、最後の「ハナチャン」でまた鼻を2回さわる

きろく

顔あそびです。あかちゃんにしてあげる時は、声かけしてからはじめましょう。

あかちゃんと目を合せてからゆっくりやさしく、軽くちょんちょんと顔をさわりながら うたいます。

「ノ」の所でリズムが変わり目が面白いあそびうたです。「ハナチャン」ところを名前にかえてもいいと思います

(参考資料 わらべうたであそぼう 明治図書)



うた

ずく ぼんじょ ずく ぼんじょ ずっきん かぶって でてこらさい



四角の綿布をひろげます。布の真ん中をつまみ、うたにあわせて上下します。
「でてこらさい」で布をそっと置き、三角塔(ずくぼんじょ)を作ってあそびます。

きろく

佐賀のわらべうたです。

春になるとあちこちの野原にずくぼんじょ(つくし)が芽吹き始めます。
昨今は、野原につくしが消えてしまいましたが長崎では
まだまだ探せば見られます。

つくし自体は地味な土黄色ですが、あそびではカラフルな綿布で
ずくぼんじょ畑を作っては遠目にながめます。
次は、かごを持ってずくぼんじょ摘みをしてあそびます。
(参考資料: 佐賀のわらべうた 音楽の友社)

うた

あっかとバイ カナキンバイ あっかとバーイ カナキンバイ
オランダさんから もろたとバーイバイ



あそびかた
No.1 と同じうたですが5歳位から、役交代のあそびにもできます。

一人が赤い布を持つ役になり、ほかの子どもは、その子を中心に外の輪をつくって
うたいながら時計回りに歩きます。
赤布役は布を高く持ち、外輪の内側を逆回りに歩き、うたの最後の「バーイバイ」で
すれ違いざまに赤布を外輪の子に渡していきます。

きろく

長崎に伝わるお正月のうたです。

昔は「赤っとばい、のんのかばい、オランダさんから、もろたとばい」
とうたわれていたこともあります。
のんのか(美しい)と言うことばが金巾(カナキン)にいつしか変わっていったのでしょう。
金巾とは、昔舶来の赤や白の綿布で着物の裏地や、卓上ナプキンに使っていたようです。

日本は、お正月が現在の太陽暦に変わる明治六年までは、月の満ち欠けを基準とした
太陰暦(旧暦)で年中行事を行っていました。
しかし、長崎には江戸時代から太陽暦の一月一日に新年を祝う人達がいました。
人々が、オランダ人と呼でいた外国人達です。

この「おらんだ正月」には新年の宴会が開かれ、オランダ商館に出入りできた人達が
招かれました。
招かれた人はめいめい、白金巾のナプキンをひざの上に広げ、目を丸くして卓上に
次々出てくるフルコースの洋食を、お皿で頂く貴重なお正月の宴を楽しんでいたようです。

そこには、晴れ着を着た丸山の遊女や禿(かむろ・遊女に仕える少女)らのお酌に踊りと
賑やかな宴が、元旦中行われ長崎の人たちは、羨望のまなざしでオランダ人からもった物や
宴会の事を うわさした事でしょう。

このうたは、そんなオランダさんからもった赤い金巾を子ども達が見せびらかしたり
ひやかしたりしてあそんでいたころのうたでしょうか。

私は、小学校の時期に出島のオランダ商館跡地で育ちました。
このうたは、古(いにしえ)の長崎出島の歴史を深く感じさせるわらべうたです。
(2005年2月12日長崎新聞 掲載)

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