うた
ねったか ねらん かあ と まくらに きけば よ お まくら もの ゆう にゃあ ねた と ゆうた
長崎の外海の子もりうたです。ゆっくりとうたってあげましょう。
きろく
長崎の外海の森ユキさん、山口オキさんから伝えて頂いた子もりうたです。
昔、外海の人々は貧しく生活に追われていたそうです。
子どもがぐずって寝ないと、別のうたで「ねんねした子の かわいさ みぞさ 起きて泣く子の
面(つら)憎さ 面憎い子は 茶釜に入れて 松葉おりくべて ゆで殺せ」があったそうです。
現在のように子どもに、かまっていられなかった時代をうかがわせます。
当時の子どもは、夜早く寝ないと大変なことになるぞ!という
おどかしみたいなものがあったのでしょうね。
コンビニやテレビなど無かった時代は、親も子も早寝、早起きだった事でしょう。
そんな背景があった頃のうたですので、枕がものを申すとは何とも面白い詞ですし
節も美しいと思います。
ぜひ、長崎の子もりうたとして伝えていきたいと思います。
(2004年10月16日 黒崎にて取材)
うた
うちの せんだんのき せびがちいて なくよ 「★ドンドンシャンシャン ドンシャンシャン」せびがちいて なかんときゃ びっきがちいて なくよ「★」
うちのくぐりどは くぐりよかところ 「★」
うちのくぐりどは くぐりにくかところ 「★」
1)操り人形をうたにあわせて踊らせる。
2)めいめい好きな太鼓やドラ、鈴、マラカスなどの鳴り物を持ち、うたいながら行進する。
それぞれのうたの「★ドンドンシャンシャン・・」で足踏みしながら鳴らします。
きろく
佐賀県のわらべうたで門くぐりあそびです。手をつないだ隊列の一番端の門役2人を、反対の端の子がくぐっていきます。
他に”あっかとばい”では、2)のように賑々しくあそびます。
これだと2歳ぐらいから始められていろんな楽器が楽しめます。
子どもは、お祭りらしくいろんな楽器を「★ドンドンシャンシャン・・・」
鳴らし騒ぐのが好きです。
あたりかまわずドラや太鼓をがんがん鳴らすと、普段は耳を塞ぎたくなりますが
このうたでお祭りのようにはしゃぎ、踊ると楽しいです。
(参考資料: 佐賀のわらべうた 音楽の友社)
うた
ひとふた ちょうろくさん なんぼがとおよ(十)とおよが二十 二十が三十 三十が四十 四十が五十
五十が六十 六十が七十 七十が八十 八十が九十 九十が百ヨー
とこいっかん かしました
あそびかた
歌に合わせお手玉を投げ上げ、受けとったり、拾ったりする。いろんなやり方がある。
きろく
対馬のお手玉歌のご紹介です。最近はお手玉で遊ぶ光景を見かけなくなりましたが、世界のお手玉の歴史は古く
紀元前からトルコの城壁には羊のかかとの骨でお手玉遊びをしている姿が彫られているそうです。
日本では、奈良時代に中国から伝わり、それが江戸時代になって布のお手玉に変わり
俵形や座布団形になっていったようです。
昔、お手玉はみな手作りで、おばあちゃんから孫へと伝承していました。
中味は大豆やヒエ、数珠玉(じゅずだま)(河原に生える野草)など。
特に数珠玉お手玉は素朴な風合いで、 握り具合や音が最高でした。
しかし、コンクリート護岸になった現在、数珠玉はなかなか手に入らなくなりました。
また、長崎の類歌として「ひとふた/ちょうろくさん/なんぼがとうふ/とうふがにんじん/
にんじんがさんしょ/さんしょがしいたけ/しいたけがごぼう/ごぼうがろうそく/
ろうそくがしちりん/しちりんがはがま/はがまがくじら/くじらが百かんめ」
という面白い歌があります。
遊びには歌がつきものですが、これには節(ふし)が伝わってなく残念です。
私たちはこの半世紀、既製の物を安易に買うことができる一見便利な社会を手に入れた半面
家族の在り方、自然環境の大切さをおざなりにしてきました。
素朴な遊びを伝えないのは、非常に残念なことだと思います。
今こそ遊びや生活を見直す時期に来ているのではないでしょうか。
(2005年8月14日長崎新聞 掲載)
うた
しろきやの おこまさんを てぶねにのせて ゆりがながるる このはがしずむごんち ごんちょ ごんちょな
あかちゃんなどに、布、人形 などをゆっくりふりながら歌って聴かせる。
きろく
この歌は、あかちゃんや1、2歳の子どもの手をとってゆすりながら、ゆったりとうたってあげましょう。私は、チャイムなどの優しい音を聴かせながら歌っています。
「手舟に」とか、「ごんち、ごんちょ、ごんちょな」の言葉からしても
ゆられる子守歌のような感じがします。
「白木屋の、、」とは、背景に文楽の『恋娘昔八丈』の影響を受けた歌かもしれません。
うた
おじいさん おばあさん なにくって かがんだ えびくって かがんだ2歳位から、杖(つえ)をつきながら親子でいっしょにうたい歩き始めます。
2、3回うたったら後続の親子に杖を渡し、しっぽにつきます。
4、5歳になったら、杖をつくおじいさんの役を一人決め、
数人の子が外輪になり杖がくるのをうたいながら待ちます。
つえは好きな子に杖を渡していきます。
役交代と場所とりのルールのあるあそびです。
きろく
このあそびは、杖をつくしぐさを交代してリレーする面白さがあります。うたが途切れないように、すばやく杖を渡せるようになること。
渡し終えたら、その場所にいて次の杖が来るまで待つこと。
次に ことばをかえて「えび」を「きゅうり」「なずび」「バナナ」などに
替えうたしていきましょう。
ことばや杖が、変わっていきながらでも あそびとうたとが途切れないで
流れていくようになると楽しくなります。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)
うた
らかんさんが そろたら そろそろ まわそじゃ ないかいなヨイヤサノ ヨイヤサ ヨイヤサノ ヨイヤサ …
数人で丸くなって座る。おのおの自分のしぐさを決め「ヨイヤサ」の掛け声に合わせて まず自分のしぐさをして、次に右隣の人がするしぐさをまね、次々と回していきます。
そうやってしぐさリレーを何回まわすか競う。
きろく
五島のわらべうたのご紹介です。「らかん」とは阿羅漢、仏教で最高の修行者のこと。
佐々町立図書館の末永嘉代子館長に教えてもらった「しぐさ回し」あそびは 地域の集まりの時などにあそんでいたそうです。
館長は、高校生の遠足のときに、クラスのみんなと五社神社でワイワイ笑いなが あそんだ楽しい光景が思い出されると言われました。
このあそびは、子どもから大人まで楽しめ、人数が多いほど難しくなりますが リズミカルになり面白くなっていきます。
しかし、最初コツが分からないうちはしぐさが途切れて、一回も回すことが できないでしょう。
人は最初におのおののしぐさを頭で覚えてしまおうとしがちです。
これが失敗のもと。
しぐさを覚えるのではなく、ただ隣の子のしぐさを流していけば スムーズに回りだします。
そうなるとスピードも速くなり、全員が「ヨイヤサ」の掛け声で一体となります。
まさに、神輿(みこし)を担ぐような感じです。
わらべうたは、あかちゃんへの語りかけうたや顔あそびに始まります。
一人あそびから段々にあそび仲間が増え、手をつなぎ、声を合わせ歩いたり 追いかけっこしたりなど、人と人の触れ合いであそびが広がっていくのです。
子どもがコミュニケーションをはぐくむのに欠かせないあそびだと思います。
(長崎新聞 掲載)(2004年4月5日 佐々町立図書館にて取材)
うた
せんべ せんべ やけた どの せんべ やけたこのせんべ やけた
数人で、せんべに見立てたおはじきやお手玉などを順々に取っていく。
きろく
このあそびは、どのせんべを取れるかが面白いのです。もしも、遊び仲間に幼い子がいると、好きなせんべにこだわります。
そんな時は、すきなせんべだけを指したままで先に進みません。
”あっかとばい”では、「今は、小さいからかんべんしようね!」と言って
こだわりを通して上げます。
すると、何回もあそぶうちに順番があることや嫌いなせんべでも
取るのがわかってきます。
特に、仲間に新しい子どもが入ってきた時など、あそびながらお互いが
わかりあえるあそびになります。
次の段階では、”あっかとばい”では、「交換しましょ、そうしましょ」で
せんべを換えるあそびをします。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)
うた
ぴーぴー ぐ さ ぴーとな れ なら んと あたまを ちょん ぎる ぞカラスノエンドウ(ピーピー草)のさやで笛をつくり
ピーピー吹いてあそびます。
きろく
このわらべうたは、春の楽しいあそびです。長崎では、4月下旬から5月中旬までに咲くかわいい豆科の
カラスノエンドウでピーピー笛ができます。
作り方は、ピーピー草はさやの茎のほうを少しちぎります。
さやの片方だけさいて中の種子をきれいに取り出し
唇(くちびる)ではさみ、ピーピー鳴らします。
なかなか、吹くのに唇と息の使い方のこつがいりますが
最初はピッ、ピッと短くても力まないで吹くとピィーーーと
長く吹けるようになります。
上手になると、唇に3.4本もはさんで大きな音で吹けたりします。
カラスノエンドウで、ままごとあそびをしたりもできます。
春の素朴なあそびです。
アタマサマ マイテ マツバラ コエテ
メイシャ二 ヨッテ ハナイッポン ヌスンデ
ホウボウデ シカラレテ ミイミイ ナイテ
クチオシ コトヨ ムネンナ コトヨ
シリモセン クセニ オヘソガ ワラウ
あそびかた
頭、顔、からだを順々にさわってあそぶうたです。
頭様(頭上)まいて、 松原(まゆげ)超えて、 目(目の横)医者に寄って
花(鼻すじ)一本盗んで、 方々(頬・ほほ)で叱られて、みいみい(耳たぶ)泣いて
口(唇)おしことよ、 むねんな(胸)ことよ、 知り(尻)もせんくせに
おへそ(お腹)が笑うの各フレーズを4回づつうたいながら触ってあげる。
きろく
子どものかわいい目やほほをやさしくタッチするスキンシップあそびです。
あかちゃんには、まずお母さんとあかちゃんが、しっかり目を合わせ、 ゆったりとなでてあげましょう。
あかちゃんが途中でいやがったり、気分がすぐれない時はサッと やめましょう。
可愛いさかりの子どもにたくさんしてあげて下さい。特にあかちゃんの時からしてあげたいうたです。
うた
ハナチャン リンゴヲ タベタイ ノ ハナチャン
あそびかた
「ハナチャン」で鼻を2回、「リンゴヲ」でほほを2回、「タベタイ」で口びる2回、 「ノ」でひたいを1回、最後の「ハナチャン」でまた鼻を2回さわる
きろく
顔あそびです。あかちゃんにしてあげる時は、声かけしてからはじめましょう。
あかちゃんと目を合せてからゆっくりやさしく、軽くちょんちょんと顔をさわりながら うたいます。
「ノ」の所でリズムが変わり目が面白いあそびうたです。「ハナチャン」ところを名前にかえてもいいと思います
(参考資料 わらべうたであそぼう 明治図書)
うた
1・イギリス イギリス イギリス2・日本 日本 イギリス 日本
3・上海 上海 イギリス 日本 上海
4・横浜 横浜 イギリス 日本 上海 横浜
5・五島 五島 イギリス 日本 上海 横浜 五島
6・武蔵 武蔵 イギリス 日本 上海 横浜 五島 武蔵
7・名古屋 名古屋 イギリス 日本 上海 横浜 五島 武蔵 名古屋
8・八幡 八幡 イギリス 日本 上海 横浜 五島 武蔵 名古屋 八幡
9・九州 九州 イギリス 日本 上海 横浜 五島 武蔵 名古屋 八幡 九州
10・東京 東京 イギリス 日本 上海 横浜 五島 武蔵 名古屋 八幡 九州 東京
あそびかた
1から10の数の地名を歌いながらまりをつき、歌詞の最後の言葉(イギリスのス)で
まりを足掛けしたり、片腕に片足を掛けたまままりをついたりしてあそぶ。
途中で失敗したら交代する。
きろく
昭和にはやったまりつきうたのご紹介です。このうたは主に女の子の遊びで、数に合わせて一番のイギリスから十番の
東京までの地名を反復しながらまりをついていきます。
私は、このうたで小学生のころゴムまりあそびをしました。
最後の東京までいくのは、なかなか難しかったものでした。
当時の女の子の服装はまりつきに欠かせないプリーツスカート。
最後にまりを股(また)の間にくぐらせて後ろのスカートで丸め込むのに
ちょうどよかった思いがあります。 長崎でも冬にはつららが下がり、スカートに
タイツ姿。ズボン姿やカイロはなく、しもやけをつくりながらあそんでいました。
歌詞に、一つだけ地名でない戦艦武蔵の武蔵が入っているのは、戦後の名残でしょうか。
八幡といえば、当時は八幡製鉄所が大きな会社として子ども心に印象深くあります。
わらべうたは、子どもたちがその時代背景や、風土に影響を受けて語呂の良いリズムや
音に合わせてあそんで伝承してきたものです。
ですので、大人がまず意味を考えてしまう思考のパターンを取るのではなく
直感的な言葉で自由自在にあそんでいきます。
このうたは、戦後の混沌(こんとん)とした時代が安定してきて、日本中が
東京オリンピック(昭和三十九年)を目指し急成長の渦の中だったような気がします。
うたが時代を背負っていたというのでしょうか。
(2005年5月1日長崎新聞 掲載)
うた
こいの たきのぼり こいの たきのぼり・・・・色とりどりの洗濯バサミを鯉に見立てて、ひもにはさみ 鯉が泳いでいるようにふる。
きろく
春になると、長崎のあちこちの川の上に鯉のぼりの吹き流しが一列に下げられます。
風をうけて川の上を鯉のぼりが泳いでいる様は、気持ちのよいものです。
”あっかとばい”では洗濯バサミをつかって遊んでいます。
他に、数人の大人が二人ずつ両手をのばして手をつなぎ川の列をつくります。
子どもは、両手を上げて体をしゃんとさせてその川に腹ばいになります。
大人は子どもを鯉の滝登りするように川の列に順送りしてあげます。
体が大きい子や、両手を上げてしゃんと腹ばいができない子はむずかしい
かもしれません。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)
うた
たけんこが はえた たけんこが はえた ぶらんこ ぶらんこ さるがえり子どもが木の棒をしゃがんだままで両手でつかみます。
大人がその棒の両端を持ち、子どもが立ち上がり宙ぶらさがりができる
まで上げて、最後にブランコをさせます。
きろく
”あっかとばい”では、このわらべうたは春のブランコあそびにしています。子どもが鉄棒であそべるのは、4、5歳からですがこのうたですと
2歳ぐらいからあそべます。
つかむ力がまだ足りない時は、その子の身長、握力にあわせて親が
手を添えかげんしてあげましょう。
幼い時期からこの宙ぶらさがりであそぶと、ブランコを嫌がらないで
公園にある鉄棒などに自然とぶらさがったりできるのではないでしょうか。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)
うた
いなさんやまから かぜもらおう
いなさんやまから かぜもらおう
いーんま かーぜ もどー そー
たこ(ハタ)あげのうたです。 布を風に見立ててふり、もどそーで布を放ちます。
他に大布を数人で持ち、うたに合わせて上下させてその大布の 風の中をくぐりぬけてあそびます。 最後に布を放ちます。
きろく
ハタ揚げに欠かせない風を呼ぶわらべうたのご紹介です。 長崎では凧(たこ)のことを「ハタ」といいます。
今年も三日に長崎市の唐八景公園で長崎ハタ揚げ大会がありました。 強風が吹き、参加した家族連れの人たちはそれぞれのハタを揚げて競いました。
うたにあるように、稲佐山からの春風が吹き込んでハタはあっという間に 空高く揚がりまるで空中に泳ぐ魚のエイのようでした。
それをたぐって右や左にスーイスイ、まるで生き物のように縦横無尽に動かします。 そして相手のハタをビードロヨマ(ガラス粉をつけた揚げ糸)で合戦させて 切って落としていくのです。
負けたハタはふらりふらりと空中に落ち、「ヨイヤー」という掛け声が 掛けられます。
港から吹き上げる稲佐山からの風は、絶品ならぬ「絶風」。 また、近くの「愛宕ん山から風もらおう」ともうたわれていたそうで 切に風を呼びたい気持ちの表れたうたでしょう。
そもそも、この祭りは長崎三大行事(長崎くんち、精霊流し)の一つで 江戸時代から伝わるものです。
昔は春の季節のお金持ちの道楽で、ハタ揚げを見物しながら芸者衆を呼び 酒宴を開く大人のあそびだったようです。
今ではブラスバンドの演奏や長崎検番の舞などがあり、家族連れで楽しめます。 サークル”あっかとばい”では、大きな布を風に見立ててうたってあそんでいます。
(長崎新聞 掲載)
うた
ずく ぼんじょ ずく ぼんじょ ずっきん かぶって でてこらさい四角の綿布をひろげます。布の真ん中をつまみ、うたにあわせて上下します。
「でてこらさい」で布をそっと置き、三角塔(ずくぼんじょ)を作ってあそびます。
きろく
佐賀のわらべうたです。春になるとあちこちの野原にずくぼんじょ(つくし)が芽吹き始めます。
昨今は、野原につくしが消えてしまいましたが長崎では
まだまだ探せば見られます。
つくし自体は地味な土黄色ですが、あそびではカラフルな綿布で
ずくぼんじょ畑を作っては遠目にながめます。
次は、かごを持ってずくぼんじょ摘みをしてあそびます。
(参考資料: 佐賀のわらべうた 音楽の友社)