わらべうたとゆかいな日々
わらべうた 長崎のこと スモーク(くん製)

うた

えんやら もものき ももがなったら だれにやろ
おっかさんに あげよか? おきくさんに あげよか?
だーれに あげよか?



しぐさあそびです。

背中に子どもを横にして背負い揺すりながら歌ったり、向かい合った二人が
手をつなぎその上に子どもを乗せてうたう。

きろく

もと関東一帯のわらべうたのようです。

桃が生ったら「食うぞ」(宮城)とか「じいとばんばに食(か)せる」(山形)
「太郎と次郎と半分こ」(栃木)などあるそうです。
桃の季節にたわわに実る木を喜ぶうたでしょう。

”あっかとばい”では1歳から子どもをだっこして又は、横にして腰をふりながら
あそびます。
子どもも4歳ぐらいになると重くなるので、この横ふり遊びは
母親に負担にならないでしょう。

子どもはゆすられると、楽しくて大はしゃぎです。
(参考資料:わらべうた 岩波書店)


うた

ささに たんざく たなばた まつり おてらじゃ こどもの こまだすき
まちじゃ おどりさ おんどとろ ささえ ささえ



あそびかた

しぐさあそびです。 うねり歩きをしながらうたう。

きろく

七夕の季節になりました。

”あっかとばい”では、2、3、4歳位の子どもは、先頭が笹をもって みんなでうねり歩きをします。

5歳になると、うちわを持ちたすきがけをして盆踊りのように 踊りながらあそんでいます。

現在の太陽歴(明治6年に改暦)では、七夕の7月7日は日本中が 梅雨時期にあたります。
この頃は、毎年天気が悪くて星を見ることが難しいのです。

今年2007年は、伝統的な七夕にあたる日は8月19日だそうです。

笹飾りや短冊に願い事を書いて楽しみましょう。

(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)




うた

ほたる たるたる たんぐるまの みずは
のめば さんがれ さんがれのまねば あがれ ほたるこい ほたるこい
あっちの みずはにがいぞ にがいぞ
こっちの みずは あまいぞ あまいぞ
ひしゃく もってこい くんでのましゅ くんでのましゅ



あそびかた

自然をうたったしぐさあそびです。
柄杓(ひしゃく)を持って水を汲み飲むしぐさをします。

きろく

蛍のうたは各地にありますがこれは、長崎の多良見町のうたです。

今でも多良見町にはたくさんの蛍が飛んでいます。 ”あっかとばい”の子どもは、うたい終えたら柄杓で水を汲んだまねをして みんなに飲ませて上げます。

こどもは、柄杓の水をこぼさぬように気をつけて飲ませるのが好きです。

(参考資料: 佐賀 長崎のわらべ歌 柳原書店)


うた

なーまんじょ なーまんじょ ひーげのなーがい なーまんじょ なーまんじょ なーまんじょ



しぐさあそびです。
顔にひげを描くようにしぐさをしながうたう。

きろく

長崎の諫早市のわらべうたです。

なあーんじょとは、鯰(なまず)のことです。
諫早にお住まいの藤山俊子さんに伝承していただいたうたです。

藤山さんのお父さんが、お孫さんの顔に何かひげのような汚れが
付いていたり、ひげに特徴のある人がいたりすると、からかい気味に
うたってあげていたそうです。

このようにわらべうたは、おじいちゃん、おばあちゃんが子どもを飛び抜いて
孫に伝えていることは、ままあることです。
最近は核家族が進んでおじいちゃん達との交流が少なくなり
わらべうたは伝承されにくくなっています。

あかちゃんから幼児まで幅広く、顔に優しくひげを描くしぐさを
しながらうたってあげましょう。
(諫早市にて 2007年3月7日取材)


うた

1. おうちの じょちゅうさんは おしゃれで こまります こまります
2. だいどこ そうじに  なみだを ポーロポロ  ポーロポロ
3. おとした なみだを たもとで ぬぐいましょ ぬぐいましょ
4. ぬぐった たもとを たらいで ごーしごし ごーしごし
5. あらった たもとを しっかり しぼりましょ しぼりましょ
6. しぼった たもとを おさおに ほーしましょ ほーしましょ
7. ほーした たもとを たたみで たたみましょ たたみましょ
8. たたんだ たもとを タンスに しまいましょ しまいましょ
9. しまった たもとを ネズミが ガーリガリ ガーリガリ
10.かじった たもとを ボロやに うーりましょ うーりましょ
11.うーった おかねで おそばを つーるつる つーるつる



あそび
しぐさあそびです。(セッセセあそび)

二人手をつなぎ、真向かいに座ります。手をつなぎ腕を真ん中から外側へと2回開閉した後に1〜11までの しぐさをします。
1.頬に両手を添える。 2.涙が頬を落ちる。3.涙をたもとでふく。4.洗濯する。5.たもとをしぼる。6.竿に干す。7.畳でたたむ。8.タンスにしまう。9.ネズミがかじる。10.売る。11.お蕎麦を食べる。

きろく
長崎の佐々町の池田長子さんに伝承していただいたうたです。
今となっては、女中さんということばもなくなってしまいました。女中さんとは、昔、よその家に雇われて住み込みで家事の手伝いなどをする女の人のことです。現在のお手伝いさんとかハウスキーパーにあたるでしょうか。

たもととは、着物の袖のことです。長崎にもボロ屋さんが半世紀前まではいて庶民はリヤカーという手押しの鉄パイプでできた二輪の荷車の古物を買っていたのです。

池田さんは、何でもお古のものしか使ったことはなく、物が無い時代だったそうです。
このうたは11番まで物語のように長くふりがついていますので、親子で手をつないでゆったりとあそぶようにしましょう。
(2004.4.5&2007.4.11 長崎県北松浦郡佐々町にて取材)


うた

にぎり ぱっちり たてよこ ひよこ



しぐさあそびです。

両手を重ねた中に布や小物をかくし、うたにあわせて上下に軽くふる。
うたい終えたら「ピヨピヨピヨ」とひよこの声で鳴きながら手を開く。

きろく

あかちゃんから幼児まで幅広くあそべるうたです。
何度しても最後に手を開く時、布が生きてるみたいにのように立ち上がって
くるのがワクワクします。

シンプルな節とリズムなので、こ猫、子豚、カエルなどに変えていくのも
面白いと思います。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)

うた

ひとまね こまね さかやの きつね かすくっちゃ ほえーろ ほえろ



鬼あてあそびです。

鬼が目をつむり輪の真ん中に座ります。
外輪の子ども達はキツネです。手をつなぎうたいながら鬼の
まわりを回ります。
うたい終わったら、止まって親がキツネの一人子に声だし
「コンコン」の合図します。

鬼は、キツネの子の「コンコン」という声でどの子なのか名前を当てます。
当たったら「大当たり」でキツネと鬼が交代、当てられたらなかったら
「大はずれ」でもう一度、鬼をします。

きろく

このあそびは、仲間でそれぞれの名前や声を聴き分けられるようになった
グループで遊びましょう。

大切なことは、最後の「コンコン」で誰と判るのではなく鬼は座っている間も
耳をそばだてて各人の回っている歌声をよく聴くのが肝心と思います。

次は、しだいに声色を変えたりして難しくして遊びましょう。
ちなみに大人が入ると大人の方が判らずびっくりすることがあります。

わらべうたをあそぶことでその中に聴力を育てる知恵がありますね。
  (参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)

うた

テーレー レッポ かさうり すずめ あぶらひき とひき
つよのめ チリン チリンと ぬけたら またぬけた
ぬけて あそばされ おぼこたち



草履隠しのあそびですが、草履や下駄、靴を手に見立ててあそびます。

数人で両手を出し、歌の最後の「ち」に当たった手が上がり
早く両手上がった子が勝ちで残った子は負けになる。

きろく

宮城県仙台地方のうただそうです。

わからないなぞなぞことばがたくさんですので、逆に語呂合わせの
リズムが面白かったのでしょう。
意味がわからないことばというのは、大人はこだわりますが子どもは
丸ごとことばあそびとしてとらえます。

子どもがそれぞれ違って理解してて、後年になって氷解する時は
これまた「腑に落ちる」ということでしょう。
?マークを持ち続ける子は氷解の感動もあり、それには大切な時間が
おのおの必要なのだと思います。

”あっかとばい”では、鬼決めうたとしても遊びます。
(参考資料:わらべうた 岩波書店)


うた

みみずが さんびき はいよった あさめし ひるめし ばんのめし
あめが ざーざー ふってきて あられが ぽつぽつ ふってきて
ゆきが こんこん ふってきて あっというまに たこにゅうどう




絵描きうたです。

うたの最後にタコになるように順をおって描いていきます。
1)「みみずが〜」でタコのおでこの部分として波線を3本描きます。
2)その下に「朝飯」で左に丸目、「昼飯」で右に丸目、「晩の飯」で
口を丸二重にして内丸は塗りつぶします。
3)「雨が〜」で足を数本かき「あられ〜雪〜ふってきて」は
足に点々をつけます。
4)「あっというまに〜」でいっきにタコの顔のように大丸を描きます。

きろく

このうたは、波佐見町在住で、幼い時に大村市で歌って育ち中国の大連でよく
あそんだと言われる今里妙子さんに教えて頂きました。

波佐見町では他に、「みみずが三匹おりました。団子が3つありました。
雨がざーざーふりました。霰がぽつぽつふりました。大きな傘かぶったタコ入道」
と丁寧なことばになっていたそうです。

昔は、土の上に棒などで大きく絵描きながらうたってあそんでいました。
しかし残念ながら、今は土はなくなり、アスファルト道路では車が多くて
とても危険で絵描きうたなどかけません。
紙の上で書いてあそびましょう。

幼い子どもには大人が描いてみせ、2、3歳位になってなぐり書きするように
なったら大人が手を添えて一緒に描くのがよいと思います。
ことばと描き方が同じになるようリズムにのって描きましょう。
   (2007年2月9日 波佐見町にて取材)

うた

にしーんたけ かぜーんふけ にしーんたけ かぜーんふけ・・・・



しぐさあそびです。 布を風に見立てて振りながらうたう。

きろく

長崎県東彼杵郡波佐見町の渡辺満さんに凧揚げのうたを教えてもらいました。

波佐見町で風をよぶうたとしてうたっていたそうです。
ハタ揚げには風はかかせないものです。
西の方の山に向かって大声で叫んでいたのかもしれませんね。

”あっかとばい”では春風をよびこむように薄い布であそんでいます。
長崎市では、唐八景で春に行われるハタ揚げなどの時に
風をよぶうたとして同じような「稲佐ん山から」No.11、No.37 があります。
風よびうたの波佐見版ということでしょう。
(2007年2月9日 波佐見町にて取材)

うた

オユキガ トウレバ オタケガ カガム  オユキガ トウレバ オタケガ カガム・・・



しぐさあそびです。 大きなお手玉や布を頭に乗せ、かがんでいきながら落とす。

きろく

冬らしいうたです。

豪雪地方では、雪下ろしや雪囲いが必要なように雪の重みはたいそうなものです。
竹林や木々に積もった雪がその重みでしなり、人がかがむような風になると
落ちていきます。

”あっかとばい”では、雪の重みとドサッと落ちる音が楽しいので大きなお手玉を
作ってしぐさあそびにしています。
長崎でも年に1、2回は積もりますので子ども達は雪だるまや雪合戦をします。

うた

ゆうびん はいたつ えっさっさ そくたつ はこんで えっさっさ



しぐさあそびです。
手紙、葉書にみたてたものを運んだり、手渡したりする。

きろく

このあそびは”あっかとばい”では段どりを楽しみます。

まずは、仮の葉書に宛先の人の事を頭に浮かべてワクワクしながら切り絵を
貼ったり、絵を描いたりしてあそびます。

次の段階は、箱で見立て郵便ポストをつくりそれに投函して仮の葉書が
ポトンと落ちて自分の手から離れるまで。
次は、実際に外に出て葉書を買って書いて切手を貼り投函するまでです。

実際に子どもが葉書を出す喜びと、葉書が時間がかかっても人をつなげて
渡って行くさまを思い浮かべられれば楽しいと思います。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)

うた

やんばらのふねが たきぎこつんで ぎしてぎし ぎしてぎし
おおなみこなみ いりふねでふね しくてしく しくてしく



しぐさあそびです。
二人が向かいあって座り、腕を伸ばし手をつなぎ舟こぎを
しながらうたう。

きろく

舟こぎ遊びはたくさんありますが、これは沖縄のうたです。
沖縄では、沖縄本島の北部の地方の山原(やんばら又は、やんばるという)
山のたきぎを船につんで、海辺の人に売ってたそうです。

昔、焚き木を海産物や塩と交換したのかもしれませんね。
”あっかとばい”では竿を数人で一列に座り持ち舟こぎあそびにしています。
うたの節が「やんばらの」の「の」で急に下がり「ふねが」の「が」で
急に上がります。子どもはうたえなくてもかまわないのですが聞いてて
声が裏声になる落差がとても面白いらしく子どもは大好きです。
(参考資料: 目あそび 手あそび 足あそび 草土文化)

うた

イモノ ニタノ サンマノ シオヤキ ゴボウノ
ムシタノ ナナクサ ハクサイ キュウリ トウナス



数えうたです。
重ねカップを積み立ててあそびます。

きろく

”あっかとばい”では1、2歳は重ねカップを積み立てていくあそびに
しています。3 、4歳からはそれをみんなに観せるあそびにしています。

みんなの前で唱えながら上手に積み立てられるかの構築あそびと
最後にとこわす、破壊あそびまでを一人ずつしてみせます。

気持ちよくバ〜ンと破壊するのが豪快で楽しそうです。
破壊しその後、みんなでまたカップを一つに戻していきます。

うた

しおぶり こぶり しおん なきゃ ポチャリン



しぐさあそびです。
ボールをゆっくりふりながらポチャリンで落として見せる。

きろく

長崎の加津佐町のわらべうたです。
しおとは潮のこと、しおんなきゃとは潮の中にということです。

あかちゃんには、ボールをふりながらうたって聴かせますが
1、2歳からは、ひざ上に座らせて上下にはねさせて
ポチャリンでまたの下に落としてあそびます。

大きいボールはあかちゃんはまだ握れないのですが、このボールは手で
掴むことができ、柔らかいので形が自由になります。
ボールの中に鈴をつけたお手玉を入れ音がするようにして使っています。
(参考資料: 佐賀 長崎のわらべ歌 柳原書店)

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