わらべうたとゆかいな日々
わらべうた 長崎のこと スモーク(くん製)

うた

十五夜の お月さんな まつのかげ まつから さされて ささのかげ
ささよーい あずきささ めささ とったが  りっかん しょ



数人の子どもが輪を作り、一人鬼をきめます。
鬼はわの中央で目をつむってしゃがみ、そのまわりを輪になった子ども達が うたいながら回ります。

「ささよーい」で輪の子どもはしゃがみ、交代に鬼が「あずきささ」から 目の前の子を手さぐりで探し名前をあてます。

きろく

本来、佐賀の鹿島市で上記のようにあそばれていたそうです。

”あっかとばい”では鬼が名前を当てるのではなく頭をなでていきます。 最後のことば「しょ」に当たった子どもが次の鬼です。これですと、2歳ぐらいがら楽しくあそべます。

小さい子は、鬼役で頭をなでていくのも、なでてもらうのもどちらも好きなようです。 これは大人に頭や「いい子だね」となでられ、いってもらえるのがうれしい からからでしょうか。

ゆっくりしたテンポであそびましょう。

つい、百年位前は、このうたにある情景のように電気も無かった時代です。 きっと昔の子ども達や大人は、今より十五夜の月などの自然の移り変わり肌で 感じていたことでしょう。
(参考資料:佐賀のわらべうた 音楽之友社)



うた

せんぶは 四枚の はねもっとる あしゃ 六本 とべとべ



あそびかた

竹とんぼを遠くに飛ばす

子どものお腹に大人の両足をあて、子どものからだをピンとさせる→高くあげ、足乗り飛行機のように上下させる

きろく

せんぶとはトンボの方言で、長崎の加津佐町では「せんぶ」、長崎市では「へんぶ」と 言われていたそうです。 「あしゃ」とは足のことです。

夏の終わりに、たくさん飛んでいるトンボを追いかけたりとったりした時の あそびうたでしょう。

近ごろは、子どもも忙しくなってきて外に出て野原や、夕方のあかねの雲 を見ながらトンボを追う姿が見られなくなりました。

子どものころ、ボ〜ッと雲の動いていくのや赤く染まる夕暮れ見たり 虫を観たり、触ったりしている時間を大切にしてあげましょう。

(参考資料: 佐賀 長崎のわらべ歌 柳原書店)



うた

1・ともさん ともさん花つみゆこや お手てつないで かご下げて
2・つんだ花々 小束になして 御母(みはは)マリアにささげましょう
3・花は我(われ)らの お手本様よ 人の心のいましめよ
4・ユリは潔白 ボタンは愛よ 派手な桜は信徳よ
5・憎しうらめし 山おろし風 咲ける桜を吹き散らす
6・咲ける花さん いくらもあれど 実る花さんいくらです
7・友よ我らも この世の花よ 徳のみのりに うまれきた
8・いかに嵐の 吹きすさぶとも 心引きしめ 気を強め
9・神の御園(みその)に 楽しむまでは しゃばの嵐に 散るまいぞ



あかちゃんをひざの上に乗せ 手を振ってあげながらうたってあげる。
また、子どもたちで輪になり 手をつなぎ、右回りや輪を縮めたり広げたり 手をかざして踊る。

きろく

長崎新聞連載の最終回となりました。

外海のド・ロ神父記念館のシスター橋口さんに教えてもらった、人の生きていく道しるべを 示すわらべうたです。

外海ではあかちゃんをひざの上に乗せ、手を振ってあげながらうたってあげていたそうです。

長崎は仏教やキリスト教が、その時代の権力に翻弄(ほんろう)され迫害された歴史があります。 その中にあって、他県にないカトリックの教えを、わらべうたの節でうたっています。

歌詞が外海の美しい風景、マリア像のある教会の風土にふさわしく、この世が徳(善の世)であること。 その徳の実りに生まれてきた私たち花は、つらいことにめげず、それぞれ心引きしめ しっかり生きましょう、と。

わらべうたは古く、もうなくなってしまったと思われる方が多いかと思います。 つい二十年くらい前まで子どもたちは、その地の風土、生活、社会状況を映しながら わらべうたやあそびをしていました。

しかし、最近は通りで友達とあそぶより一人ゲームの時代です。 心配なのは子どもの成長に、人とつながるという経験が少なくなること。

わらべうたは人とつながることでしかあそべない貴重な子どもの文化だと思います。 長崎のわらべうた、昔の人の知恵の詰まったうたを、これからも伝え続けていきたいと思います。

(長崎新聞 2005年9月掲載 2004年10月16日 ド・ロ神父記念館にて取材)


うた

ねったか ねらん かあ と まくらに きけば よ お まくら もの ゆう にゃあ ねた と ゆうた



長崎の外海の子もりうたです。ゆっくりとうたってあげましょう。

きろく

長崎の外海の森ユキさん、山口オキさんから伝えて頂いた子もりうたです。
昔、外海の人々は貧しく生活に追われていたそうです。
子どもがぐずって寝ないと、別のうたで「ねんねした子の かわいさ みぞさ 起きて泣く子の
面(つら)憎さ 面憎い子は 茶釜に入れて 松葉おりくべて ゆで殺せ」があったそうです。

現在のように子どもに、かまっていられなかった時代をうかがわせます。
当時の子どもは、夜早く寝ないと大変なことになるぞ!という
おどかしみたいなものがあったのでしょうね。

コンビニやテレビなど無かった時代は、親も子も早寝、早起きだった事でしょう。
そんな背景があった頃のうたですので、枕がものを申すとは何とも面白い詞ですし
節も美しいと思います。
ぜひ、長崎の子もりうたとして伝えていきたいと思います。
(2004年10月16日 黒崎にて取材)


うた

うちの せんだんのき  せびがちいて なくよ 「★ドンドンシャンシャン ドンシャンシャン」

せびがちいて なかんときゃ  びっきがちいて なくよ「★」
うちのくぐりどは  くぐりよかところ 「★」
うちのくぐりどは くぐりにくかところ 「★」




1)操り人形をうたにあわせて踊らせる。

2)めいめい好きな太鼓やドラ、鈴、マラカスなどの鳴り物を持ち、うたいながら行進する。
それぞれのうたの「★ドンドンシャンシャン・・」で足踏みしながら鳴らします。

きろく

佐賀県のわらべうたで門くぐりあそびです。
手をつないだ隊列の一番端の門役2人を、反対の端の子がくぐっていきます。

他に”あっかとばい”では、2)のように賑々しくあそびます。
これだと2歳ぐらいから始められていろんな楽器が楽しめます。

子どもは、お祭りらしくいろんな楽器を「★ドンドンシャンシャン・・・」
鳴らし騒ぐのが好きです。

あたりかまわずドラや太鼓をがんがん鳴らすと、普段は耳を塞ぎたくなりますが
このうたでお祭りのようにはしゃぎ、踊ると楽しいです。
(参考資料: 佐賀のわらべうた 音楽の友社)

うた

しろきやの おこまさんを てぶねにのせて ゆりがながるる このはがしずむ
ごんち ごんちょ ごんちょな



あかちゃんなどに、布、人形 などをゆっくりふりながら歌って聴かせる。

きろく

この歌は、あかちゃんや1、2歳の子どもの手をとってゆすりながら、ゆったりとうたってあげましょう。
私は、チャイムなどの優しい音を聴かせながら歌っています。
「手舟に」とか、「ごんち、ごんちょ、ごんちょな」の言葉からしても
ゆられる子守歌のような感じがします。
「白木屋の、、」とは、背景に文楽の『恋娘昔八丈』の影響を受けた歌かもしれません。


うた

おじいさん おばあさん なにくって かがんだ えびくって かがんだ



2歳位から、杖(つえ)をつきながら親子でいっしょにうたい歩き始めます。
2、3回うたったら後続の親子に杖を渡し、しっぽにつきます。

4、5歳になったら、杖をつくおじいさんの役を一人決め、
数人の子が外輪になり杖がくるのをうたいながら待ちます。
つえは好きな子に杖を渡していきます。
役交代と場所とりのルールのあるあそびです。

きろく

このあそびは、杖をつくしぐさを交代してリレーする面白さがあります。
うたが途切れないように、すばやく杖を渡せるようになること。
渡し終えたら、その場所にいて次の杖が来るまで待つこと。

次に ことばをかえて「えび」を「きゅうり」「なずび」「バナナ」などに
替えうたしていきましょう。

ことばや杖が、変わっていきながらでも あそびとうたとが途切れないで
流れていくようになると楽しくなります。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)


うた

せんべ   せんべ   やけた どの せんべ やけた
このせんべ  やけた



数人で、せんべに見立てたおはじきやお手玉などを順々に取っていく。

きろく

このあそびは、どのせんべを取れるかが面白いのです。

もしも、遊び仲間に幼い子がいると、好きなせんべにこだわります。
そんな時は、すきなせんべだけを指したままで先に進みません。

”あっかとばい”では、「今は、小さいからかんべんしようね!」と言って
こだわりを通して上げます。
すると、何回もあそぶうちに順番があることや嫌いなせんべでも
取るのがわかってきます。

特に、仲間に新しい子どもが入ってきた時など、あそびながらお互いが
わかりあえるあそびになります。

次の段階では、”あっかとばい”では、「交換しましょ、そうしましょ」で
せんべを換えるあそびをします。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)



アタマサマ マイテ マツバラ コエテ
メイシャ二 ヨッテ ハナイッポン ヌスンデ
ホウボウデ シカラレテ ミイミイ ナイテ
クチオシ コトヨ ムネンナ コトヨ
シリモセン クセニ オヘソガ ワラウ



あそびかた

頭、顔、からだを順々にさわってあそぶうたです。
頭様(頭上)まいて、 松原(まゆげ)超えて、 目(目の横)医者に寄って
花(鼻すじ)一本盗んで、 方々(頬・ほほ)で叱られて、みいみい(耳たぶ)泣いて
口(唇)おしことよ、 むねんな(胸)ことよ、 知り(尻)もせんくせに
おへそ(お腹)が笑うの各フレーズを4回づつうたいながら触ってあげる。

きろく

子どものかわいい目やほほをやさしくタッチするスキンシップあそびです。

あかちゃんには、まずお母さんとあかちゃんが、しっかり目を合わせ、 ゆったりとなでてあげましょう。

あかちゃんが途中でいやがったり、気分がすぐれない時はサッと やめましょう。

可愛いさかりの子どもにたくさんしてあげて下さい。特にあかちゃんの時からしてあげたいうたです。



うた

ハナチャン リンゴヲ タベタイ ノ ハナチャン



あそびかた

「ハナチャン」で鼻を2回、「リンゴヲ」でほほを2回、「タベタイ」で口びる2回、 「ノ」でひたいを1回、最後の「ハナチャン」でまた鼻を2回さわる

きろく

顔あそびです。あかちゃんにしてあげる時は、声かけしてからはじめましょう。

あかちゃんと目を合せてからゆっくりやさしく、軽くちょんちょんと顔をさわりながら うたいます。

「ノ」の所でリズムが変わり目が面白いあそびうたです。「ハナチャン」ところを名前にかえてもいいと思います

(参考資料 わらべうたであそぼう 明治図書)


うた

こいの たきのぼり こいの たきのぼり・・・・



色とりどりの洗濯バサミを鯉に見立てて、ひもにはさみ 鯉が泳いでいるようにふる。

きろく

春になると、長崎のあちこちの川の上に鯉のぼりの吹き流しが一列に
下げられます。
風をうけて川の上を鯉のぼりが泳いでいる様は、気持ちのよいものです。
”あっかとばい”では洗濯バサミをつかって遊んでいます。

他に、数人の大人が二人ずつ両手をのばして手をつなぎ川の列をつくります。
子どもは、両手を上げて体をしゃんとさせてその川に腹ばいになります。
大人は子どもを鯉の滝登りするように川の列に順送りしてあげます。
体が大きい子や、両手を上げてしゃんと腹ばいができない子はむずかしい
かもしれません。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)

うた

たけんこが はえた たけんこが はえた ぶらんこ ぶらんこ さるがえり



子どもが木の棒をしゃがんだままで両手でつかみます。
大人がその棒の両端を持ち、子どもが立ち上がり宙ぶらさがりができる
まで上げて、最後にブランコをさせます。

きろく

”あっかとばい”では、このわらべうたは春のブランコあそびにしています。

子どもが鉄棒であそべるのは、4、5歳からですがこのうたですと
2歳ぐらいからあそべます。
つかむ力がまだ足りない時は、その子の身長、握力にあわせて親が
手を添えかげんしてあげましょう。

幼い時期からこの宙ぶらさがりであそぶと、ブランコを嫌がらないで
公園にある鉄棒などに自然とぶらさがったりできるのではないでしょうか。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)


うた

いなさんやまから  かぜもらおう
いなさんやまから  かぜもらおう
いーんま かーぜ もどー そー



たこ(ハタ)あげのうたです。 布を風に見立ててふり、もどそーで布を放ちます。

他に大布を数人で持ち、うたに合わせて上下させてその大布の 風の中をくぐりぬけてあそびます。 最後に布を放ちます。

きろく

ハタ揚げに欠かせない風を呼ぶわらべうたのご紹介です。 長崎では凧(たこ)のことを「ハタ」といいます。

今年も三日に長崎市の唐八景公園で長崎ハタ揚げ大会がありました。 強風が吹き、参加した家族連れの人たちはそれぞれのハタを揚げて競いました。

うたにあるように、稲佐山からの春風が吹き込んでハタはあっという間に 空高く揚がりまるで空中に泳ぐ魚のエイのようでした。

それをたぐって右や左にスーイスイ、まるで生き物のように縦横無尽に動かします。 そして相手のハタをビードロヨマ(ガラス粉をつけた揚げ糸)で合戦させて 切って落としていくのです。

負けたハタはふらりふらりと空中に落ち、「ヨイヤー」という掛け声が 掛けられます。

港から吹き上げる稲佐山からの風は、絶品ならぬ「絶風」。 また、近くの「愛宕ん山から風もらおう」ともうたわれていたそうで 切に風を呼びたい気持ちの表れたうたでしょう。

そもそも、この祭りは長崎三大行事(長崎くんち、精霊流し)の一つで 江戸時代から伝わるものです。

昔は春の季節のお金持ちの道楽で、ハタ揚げを見物しながら芸者衆を呼び 酒宴を開く大人のあそびだったようです。

今ではブラスバンドの演奏や長崎検番の舞などがあり、家族連れで楽しめます。 サークル”あっかとばい”では、大きな布を風に見立ててうたってあそんでいます。

(長崎新聞 掲載)



うた

ずく ぼんじょ ずく ぼんじょ ずっきん かぶって でてこらさい



四角の綿布をひろげます。布の真ん中をつまみ、うたにあわせて上下します。
「でてこらさい」で布をそっと置き、三角塔(ずくぼんじょ)を作ってあそびます。

きろく

佐賀のわらべうたです。

春になるとあちこちの野原にずくぼんじょ(つくし)が芽吹き始めます。
昨今は、野原につくしが消えてしまいましたが長崎では
まだまだ探せば見られます。

つくし自体は地味な土黄色ですが、あそびではカラフルな綿布で
ずくぼんじょ畑を作っては遠目にながめます。
次は、かごを持ってずくぼんじょ摘みをしてあそびます。
(参考資料: 佐賀のわらべうた 音楽の友社)


うた

ケン パ   ケン パ  ケンケン パ



外あそびです。

子どもの足が入る程度のまるい輪を1つ作り、縦上に2つ
次に1つ、2つ、1つ、1つ、2つと作っていきます。

輪を縦長に並べ、ことばの順々どうりにケンは片足とび
パは両足で輪の中を跳んであそびます。
次に、並んだ輪の中の1つに石を入れると、そこはとばして
跳んでいきます。


きろく

昔、私がよくあそんだ外あそびです。

道路にチョークなどで輪を書き、跳んであそんでいました。
近ごろは、道路が車で危険な場所になりました。
本来は、屋外であそぶ時のわらべうたですが、広ければ体育館や
講堂などの屋内でもおもしろいと思います。

石のなげた場所によっては、ケンケンが続き、片足とびが
連続するとかなりの運動力がいります。
年長ぐらいからあそべますが、3、4歳は ケン パ だけの
短いうたにしたら良いと思います。

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