わらべうたとゆかいな日々
わらべうた 長崎のこと スモーク(くん製)


うた

ひっちょこ はっちょこ はちのすけ はちゃあ やめえ すばかけげ
すば かけじん よめごみげ よめごは どげんどげん しおらんな
べんつけ かねつけ しおらいたざい



あそびかた

子もりうたです。
あかちゃんをゆっくり、ゆすりながらうたう。

きろく

長崎の波佐見町、渡辺満さんから伝承していただいたうたです。

渡辺さんは、おばあさんから『山に巣を作りに行った蜂の助は
巣は作らず、結婚式で花嫁さんが奇麗になる様子を見ましたよ。』という
うただと聞いたそうです。

歌詞の中にある「べん」とは口紅のこと、「かね」とはお歯黒のことだそうです。
渡辺さんは、昔、お歯黒用の金属の入った液壷にフシ(五倍子)を混ぜるため 山に取りに行っていたそうです。

お歯黒とは、昔、既婚した女性がする習慣で、今では考えられないのですが つい最近までお歯黒をされていたおばあさんがいらしたのは驚きでした。

「ひっちょこ はっちょこ はちのすけ」で始まる類歌がたくさんありますが この子もりうたは、美しい情景が見えるうただと思います。

ゆったりとうたってあげましょう。
           (東彼杵郡波佐見町2007.2.9取材)



うた

ひやふうやの やまみちを とうってあるくは はなこさん
やまのどては くずれた あかおにさんびき にげだした
はやくにげろや はなこさん



あそびかた
門くぐりあそびです。

Aのあそび:鬼決めで門役二人を決めます。
門役は、内緒で二つのなぞことば(バナナとリンゴなど)を決めておきます。

他は全員、二人組になり門を通ります。最後の「はなこさん!」で閉まった門に
つかまった二人組は、離れた場所でべつべつに分けられて、門役からなぞことばの
どちらが好きか聞かれます。
二人は選んだことばの門役の肩に振り分けられつながっていきます。

最後に残った二人組には、みんながどちらか好きかを聞きます。
その後、門役は急いでふりわけた自分の列を数え多かった方が勝ちです。

きろく
”あっかとばい”では、A のあそびを少しちがえてBであそんでいます。

Bのあそび:門くぐりをして行き、捕まった二人組が門を増やして行く遊びです。
門が長くトンネル状になるので、すり抜けるスピード感が増して行き
そこが面白いと思います。
それに、時間が限られている場合とか、いろんな年齢で遊ぶ時はBにします。

一方、Aのあそびは門につかまるまでの間、なぞことばは何かな?と
あれこれ考えます。
なぞことばを想像し、選び振り分けられる面白さがこちらにはあります。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)

うた

コト コト ケンカシテ クスリヤサンガ トメタ
ナカ ナカ トマラン ヒトタチャ ワラウ
オヤ タチャ シンパイ シンパイ



指あそびです。

両手を抱き合わせにする。「コト〜ケンカシテ」で小指を4回合わせる。
順次「クスリヤ〜トメタ」で薬指、「ナカ〜 トマラン」で中指
「ヒト〜 ワラウ」で人差し指、「オヤ〜 シンパイ シンパイ」で
親指を各4回づつ合わせる。

きろく

長崎の波佐見町の太田ヱツ子さんから伝承していただいたうたです。

他に類歌で最後のことばが「しんぱい」でなく、「おこった」といって
角を出すしぐさのもあるようです。

私は「しんぱい、しんぱい」で最後に親指をぐるぐる回すしぐさが
ほほえましい家族のようで好きです。

まだ両手を抱き合わせたりできない、1、2歳の子にはお母さんが
手あそびにしてあげましょう。
(長崎県東彼杵郡波佐見町にて 2007.2.9取材)


うた わたしの みいや  おまどの そばで ひとりぼっち さびしそうね
かわいい こねこたち かえっておいで ママが まってるわ
ねんねの じかんよ



あそび
ロシアの子もりうたです、ゆったりうたってあげましょう。

きろく
絵本「ロシアのわらべうた」のなかのうたです。
これは「おおきなかぶ」ロシア民話 A.トルストイ、の内田 莉莎子さん(著)と「原爆の図」などの丸木 俊(著)さんと二人で出された絵本です。
ロシアの風土や音楽にそって猫やいろんな動物、自然が描かれ、うたも美しい曲がたくさんの絵本です。

子どもたちは、うたにあわせて猫の軍手人形などをゆらし、お母さんきどりで聴いています。あかちゃんや子どもに、日本や外国の子もりうたもうたってあげましょう。
(参考資料:ロシアのわらべうた 架空社)


うた

さるの こしかけ めたかけろ めたかけろ
さるの こしかけ めたかけろ めたかけろ・・・・



しぐさあそびです。
腰掛けるしぐさをしながら連なり歩きます。

きろく

このあそびは、延々に腰をおろしては先進を続けます。

スクワットみたいでかなりきつきなりますが、、、、
”あっかとばい”では軽妙な猿になったつもりで競争しながら
うたいあそびます。

最近は、さるのこしかけを見かけることが少なくなりましたが
まだ長崎では、雑木林に入ると樹に大小の腰掛けが階段のように
連なっているのを見ることがあります。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)

うた

えんやら もものき ももがなったら だれにやろ
おっかさんに あげよか? おきくさんに あげよか?
だーれに あげよか?



しぐさあそびです。

背中に子どもを横にして背負い揺すりながら歌ったり、向かい合った二人が
手をつなぎその上に子どもを乗せてうたう。

きろく

もと関東一帯のわらべうたのようです。

桃が生ったら「食うぞ」(宮城)とか「じいとばんばに食(か)せる」(山形)
「太郎と次郎と半分こ」(栃木)などあるそうです。
桃の季節にたわわに実る木を喜ぶうたでしょう。

”あっかとばい”では1歳から子どもをだっこして又は、横にして腰をふりながら
あそびます。
子どもも4歳ぐらいになると重くなるので、この横ふり遊びは
母親に負担にならないでしょう。

子どもはゆすられると、楽しくて大はしゃぎです。
(参考資料:わらべうた 岩波書店)


うた

ささに たんざく たなばた まつり おてらじゃ こどもの こまだすき
まちじゃ おどりさ おんどとろ ささえ ささえ



あそびかた

しぐさあそびです。 うねり歩きをしながらうたう。

きろく

七夕の季節になりました。

”あっかとばい”では、2、3、4歳位の子どもは、先頭が笹をもって みんなでうねり歩きをします。

5歳になると、うちわを持ちたすきがけをして盆踊りのように 踊りながらあそんでいます。

現在の太陽歴(明治6年に改暦)では、七夕の7月7日は日本中が 梅雨時期にあたります。
この頃は、毎年天気が悪くて星を見ることが難しいのです。

今年2007年は、伝統的な七夕にあたる日は8月19日だそうです。

笹飾りや短冊に願い事を書いて楽しみましょう。

(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)




うた

ほたる たるたる たんぐるまの みずは
のめば さんがれ さんがれのまねば あがれ ほたるこい ほたるこい
あっちの みずはにがいぞ にがいぞ
こっちの みずは あまいぞ あまいぞ
ひしゃく もってこい くんでのましゅ くんでのましゅ



あそびかた

自然をうたったしぐさあそびです。
柄杓(ひしゃく)を持って水を汲み飲むしぐさをします。

きろく

蛍のうたは各地にありますがこれは、長崎の多良見町のうたです。

今でも多良見町にはたくさんの蛍が飛んでいます。 ”あっかとばい”の子どもは、うたい終えたら柄杓で水を汲んだまねをして みんなに飲ませて上げます。

こどもは、柄杓の水をこぼさぬように気をつけて飲ませるのが好きです。

(参考資料: 佐賀 長崎のわらべ歌 柳原書店)



うた

チュー チュー インボリボリ タングリタングリ パー



あそびかた

しぐさあそびです。

1)寝かせたあかちゃんの両足を持ち、チュー チューは、片方の親指で もう片方の土踏まずを2回つつきます。
2)インボリボリは、両足をこする
3)タングリで大きく片足づつ回してパーで股を開く

きろく

長崎の諫早市高来町のわらべうたです。

高来町にお住まいの江頭陽子さんに伝承していただきました。 あかちゃんのおむつを替える時にうたってもらっていた わらべうただそうです。

あかちゃんがおむつを替えるのをいやがったりする時にうたいながら あやすこと。

あんよするあかちゃんの足を土踏まずをつついたり、こすったり刺戟して あげること。

足全体を大きくひねり回し開いて股関節を柔らかくしておくこと。

昔の人の子育ての知恵がきちんと入っていて、 あかちゃんに大切な運動がわらべうたなっていることは すばらしいことと思います。
(諫早市 2007年3月7日取材)


うた

なーまんじょ なーまんじょ ひーげのなーがい なーまんじょ なーまんじょ なーまんじょ



しぐさあそびです。
顔にひげを描くようにしぐさをしながうたう。

きろく

長崎の諫早市のわらべうたです。

なあーんじょとは、鯰(なまず)のことです。
諫早にお住まいの藤山俊子さんに伝承していただいたうたです。

藤山さんのお父さんが、お孫さんの顔に何かひげのような汚れが
付いていたり、ひげに特徴のある人がいたりすると、からかい気味に
うたってあげていたそうです。

このようにわらべうたは、おじいちゃん、おばあちゃんが子どもを飛び抜いて
孫に伝えていることは、ままあることです。
最近は核家族が進んでおじいちゃん達との交流が少なくなり
わらべうたは伝承されにくくなっています。

あかちゃんから幼児まで幅広く、顔に優しくひげを描くしぐさを
しながらうたってあげましょう。
(諫早市にて 2007年3月7日取材)


うた

1. おうちの じょちゅうさんは おしゃれで こまります こまります
2. だいどこ そうじに  なみだを ポーロポロ  ポーロポロ
3. おとした なみだを たもとで ぬぐいましょ ぬぐいましょ
4. ぬぐった たもとを たらいで ごーしごし ごーしごし
5. あらった たもとを しっかり しぼりましょ しぼりましょ
6. しぼった たもとを おさおに ほーしましょ ほーしましょ
7. ほーした たもとを たたみで たたみましょ たたみましょ
8. たたんだ たもとを タンスに しまいましょ しまいましょ
9. しまった たもとを ネズミが ガーリガリ ガーリガリ
10.かじった たもとを ボロやに うーりましょ うーりましょ
11.うーった おかねで おそばを つーるつる つーるつる



あそび
しぐさあそびです。(セッセセあそび)

二人手をつなぎ、真向かいに座ります。手をつなぎ腕を真ん中から外側へと2回開閉した後に1〜11までの しぐさをします。
1.頬に両手を添える。 2.涙が頬を落ちる。3.涙をたもとでふく。4.洗濯する。5.たもとをしぼる。6.竿に干す。7.畳でたたむ。8.タンスにしまう。9.ネズミがかじる。10.売る。11.お蕎麦を食べる。

きろく
長崎の佐々町の池田長子さんに伝承していただいたうたです。
今となっては、女中さんということばもなくなってしまいました。女中さんとは、昔、よその家に雇われて住み込みで家事の手伝いなどをする女の人のことです。現在のお手伝いさんとかハウスキーパーにあたるでしょうか。

たもととは、着物の袖のことです。長崎にもボロ屋さんが半世紀前まではいて庶民はリヤカーという手押しの鉄パイプでできた二輪の荷車の古物を買っていたのです。

池田さんは、何でもお古のものしか使ったことはなく、物が無い時代だったそうです。
このうたは11番まで物語のように長くふりがついていますので、親子で手をつないでゆったりとあそぶようにしましょう。
(2004.4.5&2007.4.11 長崎県北松浦郡佐々町にて取材)


うた

やまかじやけろ もしきはもえろ こじきはあたれ
かーらすからす かんざぶろー おまえのうちが やけるぞー
はーやくいって みずかけろ



夕焼け空を見てうたう。
又は、からすのぬいぐるみを手に持ちうたう。

きろく

静岡の御殿場地方のわらべうたです。

子どもらが夕暮れ、西の空が真っ赤に夕焼けているのを見て、手を打ち
はやしながらうたったものだそうです。
日本人は夕焼け、お月様 おてんとさん 、風 雪 雨など天気気象に
かかわる自然を歌ったわらべうたを沢山持っています。

これは、四季もはっきりしていて、それぞれの地方の季節の移り変わりを
敏感にとらえる子どもの感性がうたをつくったのでしょう。
もしきとは薪のこと。 勘三郎とはカラスのことです。
この夕焼けの映像は沖縄の残波岬です。
(参考資料:わらべうた 岩波書店)

うた

びきどの びきどの いつしんだ ゆんべ さけのんで けさしんだ おしょさんが きたから とをあけろ がらどん がらどん どっこいしょ



門くぐりあそびです。

門役二人を鬼きめをして選びます。 門役は、お互い両手を高くして 握り合い門をつくります。
他の子どもは二人組になり、順々にその門をくぐって行きます。 最後のことばの「しょ」で門役は両手を振り下ろし門を閉めます。

門にひっかかった二人組が門役の後ろに門をつくっていきます。段々と門は長いトンネルのようになって行きます。
その長い門に最後ひっかかった二人が、次回の最初の門になり あそびが続いて行きます。

きろく

このあそびは多人数ですると面白いあそびです。歌の中にある「びきどの」とはカエルのことです。

子どもは、「死んでとか、酒飲んで」などことばにインパクトがあるので すぐに覚えてうたいます。

門が閉まる時に出合わないように歩調を変えたり、ずるしてかけたり 門を早めに閉めたりドキドキしてくぐっていきます。

(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)


うた

にぎり ぱっちり たてよこ ひよこ



しぐさあそびです。

両手を重ねた中に布や小物をかくし、うたにあわせて上下に軽くふる。
うたい終えたら「ピヨピヨピヨ」とひよこの声で鳴きながら手を開く。

きろく

あかちゃんから幼児まで幅広くあそべるうたです。
何度しても最後に手を開く時、布が生きてるみたいにのように立ち上がって
くるのがワクワクします。

シンプルな節とリズムなので、こ猫、子豚、カエルなどに変えていくのも
面白いと思います。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)

うた

ひとまね こまね さかやの きつね かすくっちゃ ほえーろ ほえろ



鬼あてあそびです。

鬼が目をつむり輪の真ん中に座ります。
外輪の子ども達はキツネです。手をつなぎうたいながら鬼の
まわりを回ります。
うたい終わったら、止まって親がキツネの一人子に声だし
「コンコン」の合図します。

鬼は、キツネの子の「コンコン」という声でどの子なのか名前を当てます。
当たったら「大当たり」でキツネと鬼が交代、当てられたらなかったら
「大はずれ」でもう一度、鬼をします。

きろく

このあそびは、仲間でそれぞれの名前や声を聴き分けられるようになった
グループで遊びましょう。

大切なことは、最後の「コンコン」で誰と判るのではなく鬼は座っている間も
耳をそばだてて各人の回っている歌声をよく聴くのが肝心と思います。

次は、しだいに声色を変えたりして難しくして遊びましょう。
ちなみに大人が入ると大人の方が判らずびっくりすることがあります。

わらべうたをあそぶことでその中に聴力を育てる知恵がありますね。
  (参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)
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