うた
にしーんたけ かぜーんふけ にしーんたけ かぜーんふけ・・・・しぐさあそびです。 布を風に見立てて振りながらうたう。
きろく
長崎県東彼杵郡波佐見町の渡辺満さんに凧揚げのうたを教えてもらいました。波佐見町で風をよぶうたとしてうたっていたそうです。
ハタ揚げには風はかかせないものです。
西の方の山に向かって大声で叫んでいたのかもしれませんね。
”あっかとばい”では春風をよびこむように薄い布であそんでいます。
長崎市では、唐八景で春に行われるハタ揚げなどの時に
風をよぶうたとして同じような「稲佐ん山から」No.11、No.37 があります。
風よびうたの波佐見版ということでしょう。
(2007年2月9日 波佐見町にて取材)
うた
たけのこいっぽん おくれ まだめは でないよたけのこにほん おくれ もうすぐ でるよ
たけのこさんぼん おくれ もうめは でたよ
うしろのほうから ひいてくれ
引き抜きあそびです。
鬼と竹の子に分かれます。 鬼が「たけのこ一本おくれ」とうたいだすと
最初の竹の子は「まだ〜」と応えて木や柱につかまります。
次の竹の子も順々に「もう〜」でつながって行きます。
最後に、みんなで「うしろのほうから〜」をうたい終えると
鬼は最後尾の竹の子を引き抜きます。
途中で切れた竹の子が次の鬼になります。
きろく
問答のある引き抜きあそびです。竹の子は腰に手をまわしてつながっていくと切れないのですが
腰が苦手な子は肩を持つことなります。
するとそこから切れてしまうようです。
手をつなぐ、腰でつながる、肩でつながる
いずれにせよ子ども同士がじかに触れる結びつきで
ワアーワアーいいながらあそべるのは大切だと思います。
この節と似ている歌で「ほうずきばあさん」があります。
これは、ほうずきが竹の子にかわってうたい
最後の節が少しちがうだけです。
ロシア民話の絵本の「おおきなかぶ」(A・トルストイ作)に
通じるものがあります。
(参考資料: 佐賀 長崎のわらべ歌 柳原書店)
うた
さんがつみっかの もちつきは ぺったんこ ぺったんこぺったんぺったん ぺったんこ
さあこねて さあこねて さあこねさあこね さあこねて
とーん とーん とってんと とってん とってん とってんと
しぐさあそびです。
まず、二人で向かい合い座ります。
◯子が上下に大きく手拍子を4回前奏します。
次に、△子は歌うたい始めから「〜餅つきは」まで同じように
4回手拍子をします。
◯子は最後まで大きな手拍子を続ける中、その合間に
△子は◯子の手の平を打ったり
間合いでこねたり、とんで打つまねをします。
きろく
現在、長崎で餅つきのあそびとしてして伝わっているわらべうたを子どもたちに教えてもらいました。
古いものがわらべうたというのではなく、今を生きているわらべうたが
子どもの日常の中に確かにあるというのは嬉しいことです。
子どもにとっては何ごともないあそびでしようが、感動をもってこの
面白いわらべうたに見入りました。
(2007年1月29日長崎市西彼杵郡長与町公民館にて。)
うた
オユキガ トウレバ オタケガ カガム オユキガ トウレバ オタケガ カガム・・・しぐさあそびです。 大きなお手玉や布を頭に乗せ、かがんでいきながら落とす。
きろく
冬らしいうたです。豪雪地方では、雪下ろしや雪囲いが必要なように雪の重みはたいそうなものです。
竹林や木々に積もった雪がその重みでしなり、人がかがむような風になると
落ちていきます。
”あっかとばい”では、雪の重みとドサッと落ちる音が楽しいので大きなお手玉を
作ってしぐさあそびにしています。
長崎でも年に1、2回は積もりますので子ども達は雪だるまや雪合戦をします。
うた
イッチク タッチク タエモンサン タエモハ イクラデ ゴーワンスイッセン ゴリンデ ゴーワンス モウチット モウチット
スカラカ マカラカ スッテンドン
しぐさあそびです。
軍手の指先にそれぞれ違う人形をつくり、うたにあわせて順に指して行く。
最後の「どん」で当たった指をまげ、最後は五本すべて折り曲げるまでする。
きろく
指あそびです。子どもは大変な集中力で魅せられたような目つきで聴き入ります。
このあそびは、何回も繰り返さず特別な時にと、一回きりにしたほうが良い
ように思います。
演じる人は、うたい時間がかかるので指を曲げた状態がきつくなってきます。
どの指からうたい始めにするのか工夫をしましょう。
私はこのうたで子どもの時に紙芝居を夢中になって見ていた姿を思い出します。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)
うた
ゆうびん はいたつ えっさっさ そくたつ はこんで えっさっさしぐさあそびです。
手紙、葉書にみたてたものを運んだり、手渡したりする。
きろく
このあそびは”あっかとばい”では段どりを楽しみます。まずは、仮の葉書に宛先の人の事を頭に浮かべてワクワクしながら切り絵を
貼ったり、絵を描いたりしてあそびます。
次の段階は、箱で見立て郵便ポストをつくりそれに投函して仮の葉書が
ポトンと落ちて自分の手から離れるまで。
次は、実際に外に出て葉書を買って書いて切手を貼り投函するまでです。
実際に子どもが葉書を出す喜びと、葉書が時間がかかっても人をつなげて
渡って行くさまを思い浮かべられれば楽しいと思います。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)
うた
がんがんじみゃ ふねきゃあぎゃ ふねはかわでな うまこうて
うまはどこへんに つなでたな さんぼんまつの きのしたに
ないどんば くれて つなでたな きょねんのあわがらと
ことしのひえがらと じっぱばかり とりくれて つなで ええたとばい
あそびうた
子もりうたです。ゆっくりうたってあげます。
きろく
長崎の川棚の子もりです。
私たちは、子もりうたをうたわないで久しく、せわしない日々を過ごしています。
ゆったりとしたうたは、聴き手もうたい手をも気持ちを落ち着かせ 昔の時間や情景を思い出させるものです。
好きな子もりうたを一つは持っていたいものです。
(参考資料: 佐賀 長崎のわらべ歌 柳原書店)
うた
やんばらのふねが たきぎこつんで ぎしてぎし ぎしてぎしおおなみこなみ いりふねでふね しくてしく しくてしく
しぐさあそびです。
二人が向かいあって座り、腕を伸ばし手をつなぎ舟こぎを
しながらうたう。
きろく
舟こぎ遊びはたくさんありますが、これは沖縄のうたです。沖縄では、沖縄本島の北部の地方の山原(やんばら又は、やんばるという)
山のたきぎを船につんで、海辺の人に売ってたそうです。
昔、焚き木を海産物や塩と交換したのかもしれませんね。
”あっかとばい”では竿を数人で一列に座り持ち舟こぎあそびにしています。
うたの節が「やんばらの」の「の」で急に下がり「ふねが」の「が」で
急に上がります。子どもはうたえなくてもかまわないのですが聞いてて
声が裏声になる落差がとても面白いらしく子どもは大好きです。
(参考資料: 目あそび 手あそび 足あそび 草土文化)
うた
イモノ ニタノ サンマノ シオヤキ ゴボウノムシタノ ナナクサ ハクサイ キュウリ トウナス
数えうたです。
重ねカップを積み立ててあそびます。
きろく
”あっかとばい”では1、2歳は重ねカップを積み立てていくあそびにしています。3 、4歳からはそれをみんなに観せるあそびにしています。
みんなの前で唱えながら上手に積み立てられるかの構築あそびと
最後にとこわす、破壊あそびまでを一人ずつしてみせます。
気持ちよくバ〜ンと破壊するのが豪快で楽しそうです。
破壊しその後、みんなでまたカップを一つに戻していきます。
うた
しおぶり こぶり しおん なきゃ ポチャリンしぐさあそびです。
ボールをゆっくりふりながらポチャリンで落として見せる。
きろく
長崎の加津佐町のわらべうたです。しおとは潮のこと、しおんなきゃとは潮の中にということです。
あかちゃんには、ボールをふりながらうたって聴かせますが
1、2歳からは、ひざ上に座らせて上下にはねさせて
ポチャリンでまたの下に落としてあそびます。
大きいボールはあかちゃんはまだ握れないのですが、このボールは手で
掴むことができ、柔らかいので形が自由になります。
ボールの中に鈴をつけたお手玉を入れ音がするようにして使っています。
(参考資料: 佐賀 長崎のわらべ歌 柳原書店)
うた
ニッポン サンケイ シナカラ ゴケジョ イタリア シベリア ドドイツ ドン
あそびかた
ジャンケンあそびです
日本は指2本を出し、さんけいは3本、支那からは4本、後家女は5本 イタリアは頬をつねり、シベリアは頬をなで、ドドイツで脇を両腕で 2回打ち最後のドンでジャンケンを出す
きろく
長崎の歴史文化協会の川崎先生に教えて頂きました。
たいそう威勢のいいジャンケンうたです。 痛いからイタリア、すべってシベリアとは言葉をうまく言い当ていて 子どもたちは大好きです。
支那とかイタリアとかシベリアなどの言葉は、オランダと同様に長崎が いろんな文化を伝え持っているからだと思います。
長崎ではこんなうたを「チャンポンのごたる」と言うのではないでしょうか。
チャンポンとは、チャンポン玉に野菜、肉、カマボコ、海鮮類の具が たくさん入ったにぎやかな食べ物です。
(2005年11月21日長崎の歴史文化協会にて取材)
うた
じょうりげんじょ げんじょ どどんま どんまあしのひら しょうぶに さいたか さかぬか まださき そもない どーどー
ぶつぶつ てにとって みれば ひどろか まどろか じょんじょの じょ
聴かせるわらべうたです。
布をふりながらや、人形を使ってうたう。
きろく
このうたは、きわめて古くから歌われことばの意味は殆ど不明だそうです。もともとは、鬼きめ、ぞうりかぞえに使われていたそうですが、”あっかとばい”では
ひざのせうたにしたり、人形を使ってうたっています。
大人は、意味不明のことばに違和感を持ちますが、子どもはすっぽり全部を取り込みます。
リズムにのった、なぞなぞことばのおもちゃかもしれません。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)
うた
オモヤノ モチツキ インキョノ モチツキ
イットツイテ ニトツイテ テニツキ
アシニツキ イヤ ポーン ポン
あそびかた
しぐさあそびです。
1)二人組で向かい合い手をとります。
2)「母屋(オモヤ)の・・・・二斗(ニト)ついて」まではお互い 相手の手のひらと、自分の手のひらを片手で餅をつくように交互につきます。
3)「手につき」で両手拍子一回と相手の手を一回づつ、
「足につき」で両手拍子一回と自分のひざを一回づつうちます。
4)「 イヤ・・・」で相手と両手をつなぎ、軽く上下にふります。
きろく
せっせっせあそびと同類のあそびです。
幼い子は、せっせっせが良くわからないので子どもの手を取って お互い親子の同士であそんだ方が良いでしょう。
昔、私の住んでいた長崎の出島商館跡地では師走になると近くの酒屋さんに 餅つき職人がまわって来るので明け方からあんこを持って行っていました。
鏡餅や、あんこ餅を丸めていました。
お正月に、家族内でそれぞれに割り当てられるあんこ餅を
だいじに食べるのが楽しみでした。美味しいうれしい思い出です。
今は、一斗とか二斗とかあまり聞かれなくなりましたが、
ちなみに、一合(ごう)約150g 、一升(しょう) 約1.5kg(一合の10倍)
一斗(と) 約15kg(一升の10倍)、一俵(ひょう・ぴょう)60kg(一斗の4倍)
一石(こく)150kg(一斗の10倍)です。
(参考資料: 目あそび 手あそび 足あそび 草土文化)
うた
ばんの べには おおひの もと あさの べにに かわわたり すんな聴かせるわらべうたです。
布をゆっくりふりながらうたう。
きろく
昔から私たちは、夕暮れ、お月様、山、海、川などが大好きで、その自然から先祖の言い伝えとか、知恵を聞き、体の感覚を研ぎすまして暮らしていました。
昔の人の知恵で、『夕がたに紅の時は、明日は天気でしょう、でも朝に紅の時は
天気に気をつけて川は渡らないように。』ということでしょうか。
最近は正確な情報が瞬時に得られる半面、残念ながら体感覚は鈍ってきました。
景色を子どもと一緒に見ながらうたって昔の知恵を話してあげましょう。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)
うた
はなさかん ひ−らいた はさみで ちょんぎりと えっさか さっさ
しぐさあそびです。
ジャンケンをはじめて教えるときのあそびです。
「花さかん」でこぶしをふりかざし、「ひーらいた」でパアを出し 「はさみで」でまたこぶしをふり「ちょんぎりと」でチョキを出す。
そして「えっさか」でまたこぶしをふりかざして 「さっさ」でふりおろしたときにジャンケンになる。
きろく
岩手県の遠野市の阿部ヤエさんが伝えられているわらべうたです。 昔、遠野では昼はわらべうた、夜は昔話で子育てしたそうです。
「花さかん」にまつわる早池峰山の昔話は、その中にある昔の人の 知恵が色濃く出ている話だと思います。
あっかとばい”では、一連のしぐさをした後にジャンケンあそびにしています。 長崎にいる子ども達には、昔話を通して他の土地の風土や言い伝えを 知ることは面白いことで遠い東北のわらべうたは新鮮です。
(参考資料:「わらべうた」で子育て 応用編 福音館書店)
