わらべうたとゆかいな日々
わらべうた 長崎のこと スモーク(くん製)

うた

みんな いそいで ふたりずれ のこりはおによ 1、2、3



しぐさあそびです。
たくさんの人が、うたいながらうでをふりランダムに歩きます。
1、2、3 で近くの人と素早く二人組になって手合わせを3回します。

きろく

このあそびは、知らない人が大勢集まった時に楽しいあそびです。
最初は、太鼓とか拍子木でゆっくりしたテンポで歩くリズムをつくります。

1、2、3 で二人組がお互いの目を合わせて手合わせをしますが
だんだんとテンポを上げるとか、同じ人と手合わせしないようにとか
いろんなバージョンアップも面白いです。

うた

センシュ カンノンサン オヤドハドコダ オヤドハ ココダ



しぐさあそびです。
布をふりながらうたって聞かせる。
他に子どものうでをとり、片手ずつ上腕から手首まで
なでながらうたいます。

きろく

わらべうたには、このうたのように「千首観音さん」や「千ぞや万ぞ」など
たくさんの数がついたうたがあり、そのものを見たりしていなくても想像は
ふくらみます。

わからない言葉だけど、見たことは無い物。 それを、あれやこれや
想像することは大切です。
それに、子どもは「おなべふ」や「おやゆびねむれ」などの腕や
手あそびが好きです。

”あっかとばい”ではふれあいあそびにしています。
自分の指がうたにつれて変わって行くのが面白いのと
じかににぎられる人温や人肌のふれあいに気持ちが落ち着くようです。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)


”うた”

おつきさま えらいの かがみのように なったり くしのように なったり
はる、なつ、あき、ふゆ にほんじゅうを てらす



”あそびかた”

大人が聴かせるわらべうたです。
お月様を見あげるようにゆったりとうたいます。

”きろく”

お月様をうたうわらべうたは各地にたくさんあります。 昔から、日本人はお月様をよく愛でて、楽しむ民族なのでしょう。

中秋とは、旧暦(太陰暦)で、春夏秋冬を三ヶ月ごとに区切り、
それぞれの月の最初を初、真ん中を中、最後を晩とつけて言い表したので 秋(七、八、九月)の中月で八月十五日のことです。

よく聞く初夏や晩秋などの言葉はここからきています。
今年、2006年の中秋は西暦2006年10月6日です。

今年の長崎の中秋の名月は、雲に隠れず美しく見えました。
この日にちかくなると”あっかとばい”ではお月様のうたをうたったり あそんだりします。No.74

(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)

うた

たばこいっぽん おとした ひろた ひろた かやせ かやせ いやよ いやよ かやさないと うしろのこを とるぞ とるなら とってみろ



あそびかた

子とろうあそびです。 鬼が親子と問答しながら最後に後ろの子を取ります。

まず鬼が、1本指をふりながら「 たばこ・・・おとした」 親子が手を打ちながら「ひろた ひろた」と順々にうたいます。

最後に親が「とってみろ」の「ろ」で両手をひろげ、子は親につながります。 鬼は最後尾の子をとろうとして親はそれを防ごうとします。

きろく

これは長崎のわらべうたです。 古くからタバコ産地である長崎ならではのうたではないでしょうか。

子とろうあそびは動きが大きいので、小学生くらいからのあそびです。

親が必死になって鬼から子を守り、子らは家族が切れないよう がんばって右往左往します。

このような外あそびは、コンクリートや室内ではなく土の上であそびたいものです。
(参考資料: 佐賀 長崎のわらべ歌 柳原書店)



うた

うまは としとし ないても つよい うまは つよいから のりてさんも つよい



親は座り、子どもの脇を支えて伸ばしたひざの上にのせます。
ひざを曲げながら子どもが騎馬をしているように、上下にジャンプさせます。
最後に、股を開き子どもを落とします。

きろく

佐賀のわらべうたです。
もともとは、二人騎馬戦のようにあそぶようです。

“あっかとばい”では、子どもが小さいときは、親がひざの上に乗せます。
他に、おんぶして子どもに次は暴れ馬?とか、おとなしい馬、小さい馬、などと
リクエストを聞いています。

うたのなかの「乗り手さんは」を「○○ちゃんは」にかえてあそびます。
子どもは、馬役になって人形を乗せるしぐさあそびも大好きです。
(参考資料:佐賀のわらべうた 音楽之友社)

うた

ジー ジー バー ジー ジー バー  ジー ジー バー ・・・・
チリーン ポローン ト トンデッター!



片腕に長布をかけ、幕にします。
その幕の四方八方より人形の顔を「バー」で見せます。
「トンデッター!」で人形を飛ばせる。

きろく

この遊びは、あかちゃんにしてあげます。
両手で顔を覆い「ばあ」で顔をみせる「いない いない ばあ」と同類です。

他に幕から見せるのは、人形じゃなく顔も良いでしょうし、
幕無しで布を上下にふって最後に布を放つのも面白いと思います。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)


うた

ベンケイガ ゴジョウノハシヲ ワタルトキ 
ウントコドッコイショ ウントコドッコイショ
ウントコドッコイ ドッコイショ ト ユウテワタル




あそびかた

しぐさあそびです。

正座して腕をのばし、「ベンケイガ」で手打ちを3回。
「ゴジョウ・・・トキ」で★手打ちを1回づつ
手打ち、左前腕、左上腕、額、右上腕、右前腕、手打ちの順でたたく。

「ウントコドッコイショ」の2回は、両手ゲンコツを左右に各4回づつふる。
「ウントコドッコイ・・・・ワタル」は再び★

きろく

ベンケイガ ゴジョウノハシヲとは弁慶が五条の橋をということです。
子どもは、このあそびのしぐさは難しのですが、うたと動きが
面白く大好きです。

”あっかとばい”では、1歳ぐらいからひざの上に乗せ、最初はふりは
できないので、両手をとりしぐさあそびを楽しみます。

2、3歳になると、黒子も必要ですがお客さんと演者にわかれて
劇場あそびとしています。お客さんは座布団に座って観る役です。
演者は舞台であいさつをして、あぐらを組んでから始めます。

子どもは、お客さん役や、演者役で、正座してあいさつしたり拍手をもらい
人前でしぐさうたの披露をするあそびの中から多くのことを学びます。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)

うた

ねんね ねんね ねんねよ ねんね ねんね こんぼうよ
ねんね さんせ とこさんせ あした はよう おけさんせ
ぼっちん ついて くわしゅうで ついて いやなら やいて くわしゅ
やいて いやなら たいて くわしゅ たいて いやなら なまで くわしゅ
ほうりゃ ほうりゃ ほうりゃよ おうおう おうおう おうおうよ



子もりうたです。
ゆったりと抱っこしたり、おぶったり、添い寝しながら聴かせます。

きろく

壱州とは長崎県の壱岐島のことで、ぼっちんとは餅、たいてとは煮ることです。

現代は、何かと気ぜわしい、不安な時代になりました。
子どもに、子もりうたで寝かしつけることもしなくなってきましたが
母の声でゆっくりした歌を聴かせる時間は、親子ともに安心を与えると思います。

全国的な有名な子もりもありますが、できれば地元長崎の素朴な子もりうたを
うたい伝えていきたいと思っています。
(参考資料: 佐賀 長崎のわらべ歌 柳原書店)


うた

ほたるこい  やまみちこい  あんどのひかりを  ちょいとみてこい



しぐさあそびです。

行灯(あんどん)を持った先頭の子が、手をつないで後続の子たちを道案内して歩く。

きろく

”あっかとばい”では、夜の蛍をさがしに提灯の火を灯してでかける風情を 大切にしたいので、部屋を暗くしてあそびます。

提灯が燃えたりする危険もあるのですが、ローソクに火を灯す前に、 火をあつかう時の注意や身構えもきちんと話します。

花火なども、おとなが十分に火のあつかいを教えてください。

火が危険なこと、後かたずけなども教えてあげるとよいと思います。
(参考資料: わらべうたであそぼう 明治図書)



うた

コゾウ ネロ オイシャ ネロ セイタカ ネロ オレモネルカラ ワレモ ネロ



あそびかた

手あそびです。
子どもをひざの上にのせて指を開かせ、小指から順にまげていきます。
小僧は小指、お医者は薬指、せいたかは中指、おれは人差し指、われは親指。

きろく

あかちゃんの指はかわいいものです。 抱っこして、もみじのようなふわふわの指をやさしく開いてうたってあげましょう。

ゆびをまげる時は、必ず指先を少しつまんでツボを押さえるようにまげてあげると ほどよい刺戟が脳に伝わるでしょう。

私は、最後にあかちゃんの手をおにぎりを作るように軽くにぎりながら 「にんぎ、にんぎ、にんぎ」と唱えます。

(参考資料: わらべうたであそぼう 明治図書)



うた

ととけっこ  よがあけた  まめでっぽ  おきてきな



あそび

にわとりや、それに見立てたものでうたってみせる

きろく

このうたは、あかちゃんから幼児までにやさしく、ゆったりとうたってあげましょう。

うたで使うものは、にわとりのぬいぐるみ以外でもボール、積み木、布でも面白いと思います。

ここでは、にわとりを裏返すとひよこに変身するタオル布地のぬいぐるみを使っています。

うたの後に「朝がきたよ○○ちゃん、おはよう」と語りかけたりもします。

(参考資料: わらべうたであそぼう 明治図書)



カ ーラス カズノコ ニシンノコ オシリヲ ネラッテ カッパノコ



あそび

鬼決めでカッパ役を一人決めます。他の子は、手をつなぎ輪つくりをうたい出します。 うたに合わせてカッパは外輪を歩きます。

カッパは、「ネラッテ」で近くの子の肩に左手を添え「カッパノコ」 で右手でおしりを3回たたきます。

たたかれた子は、カッパの家来になって後ろに従って歩きます。 最後に残った子は、全員からおしりをたたかれます。

次のカッパは最後の子が交代していきます。

きろく

このうたは、カラス、数の子、鰊(ニシン)、おしり、河童など面白い言葉が 数珠のように繋がりあっています。

のりのよい語呂でうたは楽しいのですが、あそびの最後におしりをみんなに たたかれるのでこのあそびを嫌う子もいました。

一時期、おしりをきつくたたく子もいたので嫌がっていたんです。

しかし、始める前にこのうたの面白いところは、最後に逃げないでおしりを たたかせるあそびだということ。

必ず、たたいたほうも、交代してたたかれるほうになるので、 たたき方の塩梅(あんばい)をみんなで考えようと話しました。

それからは、いやがらないで楽しくあそびができるようになりました。

今の子はこういうあそびに慣れていなくて残念ですが、きちんとあそび方を 伝えると楽しくあそべると思います。

(参考資料: わらべうたであそぼう 明治図書)




うた

じごくごくらく えんまさんのまえで このこがいちばん よいむすめ ぎんのふねうかべて あそびましょ

じごくごくらく えんまさんのまえで このこがいちばん わるむすめ ひのやまとんで あそびなさい

じごくごくらく えんまさんのまえで このこがいちばん わるむすめ はりのやまとんで あそびなさい



あそびかた

ふりわけあそびです。

二人の子が向かい両手をつ ないだ中に一人の子が入ります。
中の子はわきを開けて、ゆすられるように体をゆらします。 うたのさいごに支えられた片方の腕から外にふり出されます。

良い娘は優しくふりだされ、悪い娘は乱暴に振り出されます。

きろく

いろんな地方に、ゆすってふりわけるあそびはあります。

このうたは、長崎の五島(岐宿町)に伝わるわらべうたですが、 京都は、類歌で問答が入っているうたであそんでいたようです。

昔は、地獄とか極楽とかはっきりとした善、悪の基準がことばでうたわれ あそばれていたんですね。

”あっかとばい”では2、3歳から振り分ける時に良い子は、親が手車に乗せて やさしくゆらします。
悪い子の時は、子どもの両手を持って飛び続けさせるあそびにしています。
(参考資料: 佐賀 長崎のわらべ歌 柳原書店


うた

いもむし ごろごろ ひょうたん ぽっくりこ



2歳ぐらいから大きなボールに腹ばいでのせ、そのうえで引き押ししながらうたう。

4、5歳になると数人でしゃがみ、肩や腰をつかみ一列になり数珠つなぎで
いも虫になってあそぶ。

きろく

ボールにのるのが恐ろしい子はお母さんが手を持ってあげましょう。
大きなボールはだっこするようにかかえさせて、それからうでを引いてあげると
スムーズにボールに乗れます。

子どもは、ボールの上で脱力して頭や足をダラリとできるようになると
気持ちがよくなって楽しくてなんどもあそびたがります。
満足するまでたくさんあそんであげましょう。
(参考資料:わらべうたであそぼう 明治図書)

うた

オガドンナ ドンナ  ヤッパリ コウコウ オガドンナ ドンナ  ヤッパリ コウコウ・・・



あそびかた

二人であやとりのひも交差させ引きながらうたう。

きろく

長崎のわらべうたです。
めずらしいわらべうたを長崎歴史文化協会の川崎先生に教えてもらいました。

昔、木挽きの人が大鋸(おが)という鋸(のこぎり)で木を切っていました。 それで、大鋸屑(おがくず)をたくさんで出す人のことを“おがどん”と言って いたそうです。

このあそびは鋸(のこぎり)を使い木の両端から引き合い切っているさまを子どもが見て おもしろかったのでしょう。

それで、ひもをふたりで交差させて引き合うしぐさにしてうたって あそんだのでしょう。

あやとりは「はしご」や「ほうき」などをあそんだものでしたが 二人であやとりをしてひもを引き合うあそびは珍しいと思います。

“あっかとばい”では、あやとりをダイナミックにロープを使って体で引きあう あそびにもしています。 No.62
(2006年2月17日 長崎歴史文化協会にて取材)


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